涸沼のウナギ 生息調査 パルシステム 石倉籠設置 資源回復へ環境観察 茨城
パルシステム生活協同組合連合会(本部・東京、大信政一理事長)は、ウナギの生息環境や日本の食文化、産地を守るため、資源回復の取り組みとして石倉籠を用いたモニタリングを行っている。関東で行う調査には、茨城県茨城町の涸沼を選定。同町上石崎の親沢公園キャンプ場付近の水中に18日、石倉籠を設置した。1カ月後に籠内の状況を確認し、モニタリングを行う時期を計画していく。
同連合会は2015年から、九州大学大学院農学研究院資源生物科学部門の望岡典隆特任教授による指導の下、鹿児島県の大隅半島の河川でモニタリングを実施。籠を引き上げウナギや生き物の数、種類などを調査している。
石倉籠は1辺約1.5メートルの樹脂製で、直径約20センチの石を詰め込む。重さは約300キロ。隙間はウナギが身を隠す場所となり、餌となるカニやエビが集まる。籠の目は小さくカワウなどの侵入を防ぐ。
涸沼を推薦した望岡教授は環境について「汽水湖でウナギが多い。成長速度も早いのでは」とみている。
籠設置に先立ち、同町駒場の町駒場庁舎で望岡教授による「うなぎの学習会」を実施。地元の大涸沼漁業協同組合員やパルシステム茨城栃木の組合員ら約60人が、資源減少の原因や生活史についての説明、天然の産卵親魚や小魚捕獲の説明に耳を傾けた。
望岡教授は最後に「皆さんと手を携えてウナギを守り、おいしいウナギとその文化を次の世代へ末永く残していきたい」と訴えた。
同キャンプ場に移動し、石倉籠を設置。湖岸から約5メートル、水深約1.2メートルの場所に2基置いた。籠内外の環境は徐々に変化し、藻が付いたり生き物が集まったりする。キャンプ場内に設置した看板で、調査実施を知らせ接触注意を促す。