ラーケーション誘客に注目 鹿嶋市が体験コース開発 茨城
観光誘客に力を入れている茨城県鹿嶋市が、県内で本年度始まった「ラーケーション」に注目している。市内には鹿島神宮やサッカー・J1鹿島アントラーズ、鹿島臨海工業地帯などがあり、市は「市内には学びの題材となる資源が多い。来訪者の増加につながる」と期待し、活用可能なモデルコースの開発に取り組んでいる。併せて、ふるさと納税の返礼品としてラーケーションに適した商品を用意することで、寄付額の増加も狙っている。
ラーケーションは、ラーニング(学習)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語で、平日に学校を休み、保護者や家族と一緒に校外で体験や探究を行う制度。欠席扱いとはならず、現在、県立校と38市町村立の学校で導入し、最大年間5日間取得できる。県教委によると、6月末時点で城巡りや被災地ボランティアなどに活用されているという。
こうした動きから市は、ラーケーションが市内の観光資源と親和性があると判断。加えて、学ぶという明確な目的がある来訪者は滞在時間が長くなると考えられ、食事や宿泊にもつながる可能性が高いことから、鹿島神宮の古い歴史を学んだり、県立カシマサッカースタジアムでの試合観戦、鹿島臨海工業地帯の工場見学などによる来訪を促す。
さらに市は昨年度、地域おこし協力隊が企画した日帰りバスツアー「大人の社会科見学」に着目。鹿島神宮を案内ガイド付きで回り、日本製鉄内の工場見学などを実施し、好評を得たことから、親子用にリニューアルを進めている。
一方で、市は今後、これまでふるさと納税の返礼品として用意していた「体験型」を「ラーケーションに適している」とアピールしていく。各サイトの寄付募集ページの見直しを図り、公式交流サイト(SNS)などによる情報発信を強化する。市ふるさと納税戦略室によると、ゴルフボールの代わりにサッカーボール、クラブの代わりに足を使ってゴルフと同じルールで競う「フットゴルフ」体験や、海釣り船乗船、保護猫と触れ合うことができる「猫カフェ」の利用などがあり、同室は「他の自治体にはない強みがある」と強調する。
市は今後、ラーケーションの取り組みが全国の自治体にも広がっていくとみており、鈴木欽章市経済振興部長は「市の自然や歴史、産業、スポーツなど学びの場としての魅力を積極的にPRしていく」と力を込める。