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二所ノ関親方「もっと勝てる」 大の里 最速大関 自ら胸貸し 快挙 「もう一つ上 目指せ」 茨城

大関昇進を受け、記者会見する大の里(左)と二所ノ関親方=25日午前、阿見町荒川本郷の二所ノ関部屋
大関昇進を受け、記者会見する大の里(左)と二所ノ関親方=25日午前、阿見町荒川本郷の二所ノ関部屋


大相撲の大の里(24)=本名中村泰輝、石川県出身=を大関に導いたのは、所属する二所ノ関部屋(茨城県阿見町)の二所ノ関親方(38)=元横綱稀勢の里、同県牛久市出身=にほかならない。25日の昇進伝達式に同席した二所ノ関親方。まな弟子の晴れ舞台で笑顔を見せながら、さらに「相撲への向き合い方を勉強し、もう一つ上を目指してもらいたい」と期待を込めた。

日体大時代に2年連続アマチュア横綱に輝き、入門前から注目された大の里。初土俵からわずか約1年半の歴史的なスピード出世を実現させたのは、二所ノ関親方の指導があってこそだ。

「実績を持って入門するとプライドを捨てきれないものだが、言われたことを素直にやっていた」。二所ノ関親方は大の里の入門当時を振り返る。真っすぐに相撲に向き合う姿に、指導は熱を帯びたという。

徹底させたのは四股やすり足などの基礎練習。2度目の賜杯をつかんだ秋場所の攻撃相撲を評価しつつ「まだまだ腰が割れていない」と指摘する。股関節を開いて重心を低くする姿勢は相撲の基本。「基本ができればもっと勝てる」と伸びしろを確信している。

基礎を重視する根底にあるのは、けがをしにくい力士を育てたいとの思い。腰を割って前に出る相撲は、立ち合いに負けることが少なく、故障のリスクも減る。二所ノ関親方も師匠の故鳴戸親方(元横綱隆の里)の教えを守り、愚直に稽古を積み重ねて強靱(きょうじん)な体をつくった。

口で伝えるだけでなく、自らまわしを締めて指導する姿も見られた。7月の名古屋場所で初の1桁となる9勝にとどまった弟子に「少しでも何か気付くものがあれば」と胸を貸した。現役時代に武器とした左おっつけを伝授するなど、立ち直るきっかけを与えた。2度目の賜杯で応えた大の里は「頂点に上り詰めた親方の胸を借りるのは、この部屋だからできること。今場所を左右した大きな稽古だった」と感謝した。

日本出身横綱は2019年に引退した二所ノ関親方以来出ていない。記録ずくめで大関に昇進した大器を、角界待望の和製横綱に育て上げられるか。「これからがスタート。優勝争いにも必ず絡むことが求められる。引き続きしっかり指導していく」と親方。二人三脚の歩みはこれからが本番だ。

■毎日「立ち合い集中を」 千秋楽まで声かけ奏功

二所ノ関親方は25日、大の里の快挙について「『明日の立ち合い集中していけよ』と千秋楽までずっと声をかけたら優勝できた」と茨城県水戸市内のイベントで明かした。

これまで勝ったことのない14日目の豊昇龍戦の前も「『集中力』と声をかけたら勝てた」と話した。

自らが現役時代に師匠に授かった金言のエピソードにも触れた。白鵬の連勝を63で止めた2010年九州場所の一番の前日、故鳴戸親方(元横綱隆の里)から「勝ってもガッツポーズするなよ」と言われ、「もう勝ったと思ってリラックスできた」と振り返った。

■感激、憧れ 大横綱に 県内喜びの声

大の里の大関昇進を受け、二所ノ関部屋(茨城県阿見町)と親交のある地元支援者から喜びと期待の声が上がった。

部屋に出稽古に訪れる東洋大牛久高相撲部の山本紳童監督(36)は「まさに記録的なスピードで駆け上がった。素直にうれしい」と感激を口にする。出稽古では部員が親方から指導を受けたり、大の里の胸を借りたりすることも。大の里と同じ北陸出身の3年生部員、仲野奏人さん(18)は「特別な存在。かっこいいし、憧れる。(自分も)結果を残せる力士になりたい」と語った。

稽古場がある阿見町の千葉繁町長は「大の里関の才能と日ごろの努力のたまもの。親方の良き指導のおかげだと思う。優勝を積み重ね、令和の大横綱になってほしい」とコメントした。

二所ノ関部屋鹿嶋後援会会長の田口伸一市長は「本当におめでたい」と祝福。同後援会は二所ノ関親方が横綱時代、武道の神を祭る同県鹿嶋市内の鹿島神宮で土俵入りを奉納したことなどが縁で今年2月に設立。設立総会と同神宮の節分祭に大の里も参加した。田口市長は「これからの角界を引っ張る存在になってほしい」と期待を込めた。



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