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「3選」沈黙、与野党注視 茨城県の大井川知事、任期残り1年 後援会は市町村9割に

記者会見で就任以降の成果について話す大井川和彦知事=8月、県庁
記者会見で就任以降の成果について話す大井川和彦知事=8月、県庁


茨城県の大井川和彦知事が2021年9月に再選し、26日で任期満了まで残り1年となった。知事就任以降、人口減少を見据えた企業誘致や輸出の拡大など、経済政策を推進してきた。現時点で3期目への言及はないものの、市町村単位での後援会づくりなど「着々と足場を固めている」との見方も出ている。来年の知事選へ今後の動向が注目される。

「(17年9月の)知事就任当初から、最大の課題は人口減少対策だと考えている」。8月下旬の記者会見で、人口減対策として経済力強化、多様な人材活用、医療や教育などの社会インフラ充実の重要性を挙げ、「変化の芽が出てきた」と成果を強調した。

経済力強化は就任以降、特に力を注ぐ。1999年以降凍結されてきた工業団地開発の方針を転換し、同県つくばみらい市に20年ぶりとなる「圏央道インターパークつくばみらい」を造成。日清食品やクボタなど大手企業を誘致した。同県坂東市やひたちなか市でも造成や誘致が進んでいる。

輸出も急拡大している。2023年度の農産物輸出額は17億5000万円を超え、就任前の16年から約13倍に増えた。7月下旬に同県水戸市内で開いた後援会総会ではこれらの実績に触れ、「茨城県の経済成長率は国を大幅に上回る」と訴えた。

一方で、課題とする人口減少の歯止めは道半ばだ。労働力不足が顕在化している中で、外国人材の活用に向けた環境づくりを急ぐ。任期満了までの1年で、「思い切った政策」を進める方針だ。

大井川知事はこれまで、3期目に向けた態度を明らかにしていない。一方で、再選以降も市町村ごとの後援会が22年に水戸市、23年に同県神栖市とひたちなか市ででそれぞれ発足するなど、県内約9割に拡大。「着々と足場固めを進めている」(県議)

自民党県連との連携も課題だ。海野透県連会長は7月の会長就任パーティーで、来年の知事選に触れ「(出馬について)早く腹づもりを聞きたい」と迫った。

鹿島セントラルホテル(神栖市)をはじめとする県有施設の民間譲渡など「スピード感」重視の方針は、県議会でも「説明不足」などと議論を呼んだ。一部の幹部から「推薦依頼があっても、簡単に決まるというわけにはいかないだろう」との声も漏れる。

現時点で、野党系による新人候補擁立に目立った動きはない。最大野党の立憲民主党県連は「目の前の衆院選に全力投球した上で、しっかり考えたい」と自主投票だった前回同様、慎重姿勢を崩さない。

前回知事選では告示の3週間前に共産系新人が出馬を表明し、一騎打ちとなった。擁立した政治団体の幹部は「候補者擁立を目指し、年内にも協議を始める予定」と語り、来年に向けた動きを本格化させる考えを示した。



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