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ニセ電話、金融機関に速報 茨城県警 県全域に新システム

シン・オートコールのデモンストレーションで電話を受ける常陽銀行県庁支店の行員。右はパソコンの管理画面=水戸市笠原町
シン・オートコールのデモンストレーションで電話を受ける常陽銀行県庁支店の行員。右はパソコンの管理画面=水戸市笠原町


ニセ電話詐欺の水際対策を図ろうと、茨城県警は10月1日、NTT東日本が開発した電話伝達サービス「シン・オートコールシステム」を県内全域に導入する。ニセ電話詐欺の犯人から入電があったことを速やかに金融機関へ一斉周知し、店舗の窓口やATMでの警戒を強化する。警察署員が犯人の捜索に専念できる利点もあり、県警は被害減少を見込んでいる。

シン・オートコールは、人工知能(AI)による音声読み上げや肉声により、固定・携帯電話へ一斉に情報を伝達できるサービス。資産・在宅状況を聞き出す「アポ電」発生の連絡を県警本部や警察署が受けると、組織犯罪対策1課がアポ電の内容や警戒を呼びかける文章を作成。アポ電は同じエリアに同じような文言で集中する傾向があるため、発生地域の金融機関へ一斉に電話する。

金融機関は電話でメッセージを聞き、「はい」と回答すれば、確認済みであることが同課に記録される。店舗の職員は窓口やATMで、利用者に振込先や理由を聞くなどして警戒する。

これまでは署員が金融機関に1店舗ずつ連絡する手間がかかっており、その間に被害が発生するケースがあった。導入後はパトロール強化や犯人を捕まえることに注力できる。

同サービスは他都県の自治体で防災情報や要支援者の見守りに使われている。ニセ電話詐欺対策としては警視庁蒲田署でのみ導入されている。

県警の萩野谷剛組織犯罪対策統括官は今月26日の会見で、被害の水際防止には警察からの迅速かつ確実な情報伝達、金融機関の速やかな対応が不可欠である点を指摘。「今後は情報伝達速度や確実性が向上する」と強調した。NTT東日本の松木裕人茨城支店長は「これが全国に広まり、日本全体でニセ電話詐欺を撲滅できるよう協力したい」と話した。

同県水戸市笠原町の常陽銀行県庁支店で同日、デモンストレーションが公開された。関根芳定副支店長は「自動音声に回答するだけなので業務に支障はない。県警との連携で未然防止できれば」と期待を込めた。

県内のニセ電話詐欺の認知件数は減少傾向にあるものの、昨年は242件が発生、被害総額は4億9922万円。今年は8月末時点で123件、3億1449万円と依然として深刻な状況にある。認知したアポ電は昨年が約1200件で、今年は8月末までに約1300件とすでに上回っている。



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