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使用農薬切り替え方針 JAグループ茨城 ネオニコチノイド系脱却 コウノトリ飛来効果も

田んぼに飛来したコウノトリ=9月、水戸市常澄地区(萩谷茂さん提供)
田んぼに飛来したコウノトリ=9月、水戸市常澄地区(萩谷茂さん提供)


JAグループ茨城は、10月末に開く今後3年間の基本方針を決める「県JA大会」で、生物などの減少につながるとされる農薬「ネオニコチノイド系」の使用削減を目標に掲げている。今夏、この農薬を数年使わなかった同県水戸市常澄地区の田んぼで、国の特別天然記念物コウノトリが確認された。JA関係者は環境に配慮してきた結果と受け止め、「農産物全体に広げ、持続可能で高付加価値な農業を目指したい」と見据える。

同農薬は、水稲栽培においては、害虫のカメムシなどの防除に効果がある。一方で、トンボや蜂などの減少につながるとされる。

農水省が2021年に掲げた、環境負荷の低減を目指す「みどりの食料システム戦略」では、50年までに、ネオニコチノイド系を含む従来の殺虫剤に代わる新規農薬を開発し、化学農薬の使用量を50%低減することが盛り込まれた。

JA水戸は22年から、管内全体で空中散布用の農薬を、ネオニコチノイドから非ネオニコチノイド系へ切り替えている。

今年8月末~9月にかけ、水戸市常澄地区でコウノトリの飛来が数羽目撃された。情報を受け、先月、JA県中央会の萩谷茂さんが田んぼを確認。コウノトリは、足輪から千葉県生まれの3歳のオス、福井県生まれの5歳のメスと、今年生まれた性別不明の1羽の計3羽だったという。

JA水戸によると飛来は初めてといい、5~6年前から農薬を切り替えた効果の表われと見ている。

コウノトリ飼育施設「こうのとりの里」(千葉県)によると、コウノトリは季節によって魚類や昆虫、爬虫(はちゅう)類など多様な餌を食べる。飼育主任の森本直樹さんは「安全に食べ物が食べられる環境があったのでは。来年も飛来する可能性はある」と話した。山階鳥類研究所(同県)の自然誌・保全研究ディレクター、水田拓さんは「コウノトリは体が大きいので豊富な餌が必要。(飛来した田んぼは)生物多様性がある環境といえる」と分析した。

JA水戸の園部優組合長は「環境に配慮した農業に変えなければ持続可能にならない。人間や地球に優しい農業をさらに加速させていく」と強調した。

JAグループ茨城は、今月30日、県JA大会を水戸市内で開催。関係者約1000人が参加し、環境配慮農業などの決議を図る方針。



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