原発事故想定し図上訓練 茨城県、複合災害の対応力強化
原子力災害の発生に備え、茨城県は9日、県庁で図上訓練を行った。原発5キロ圏(PAZ)の即時避難が指示され、「地震との複合災害で道路寸断や避難所に被害が出た」などとする想定で、参加者した県職員らに事前に知らせないブラインド方式で実施された。それぞれの役割の確認と対応力、応用力の向上を図った。
訓練は、未明の大規模地震で県内全域に死傷者やインフラ被害が発生し、日本原子力発電(原電)東海第2原発(同県東海村)の使用済み核燃料プールの水位が低下したとの想定で実施。PAZの住民約6万5000人のうち要援護者約9700人の避難を国が指示し、残る住民も数時間後に避難させる、という状況への対応を検証した。
県職員のほか原電や陸上自衛隊、県警、内閣府など約130人が参加。災害対策本部事務局に原発や放射性物質のモニタリングの状況を確認する「原子力対策班」、避難所開設や避難経路確保、車両手配を行う「避難対策班」など9班を設け、連携して被災者や避難者の支援などに当たった。
各班が端末で入力した情報を重要度により色分けし、対策本部の大型モニターに表示。合わせて縦約170センチ、横約120センチの茨城県の地図を置き、被災場所や対応などを記入して情報を共有化し、変化や拡大する状況への対応を図った。
今回の訓練は、PAZの住民避難の直前までを想定。来年度以降は原発5~30キロ圏(UPZ)の住民避難など、テーマを変えなから訓練を継続する。
災害対策本部事務局長を務めた山崎剛防災・危機管理部長は「複合災害で対策が多かったが、職員は良い経験が積めたと考えている。訓練を重ね、対応力を高めたい」と述べた。