ミューオン測定器設置 小中高生製作 茨城・東海村の古墳調査
宇宙から降り注ぐ素粒子「ミューオン」で古墳内部を調べる茨城県東海村と、世界最先端の実験施設「大強度陽子加速器施設」(同村白方、J-PARC)などの連携事業の一環で、小中高生たちが作ったミューオン測定器が13日、村内にある調査対象の古墳近くに設置された。測定も同日のうちに始まり、児童、生徒らは古墳内部にある埋葬施設の調査、解明を目指す。
同事業は昨年度から始まり、調査対象は同村村松の前方後円墳「舟塚古墳群2号墳」(全長75メートル)。ミューオンや古墳の基礎を学習し、昨年10月から小中高生25人が研究者と共に月1回のペースで測定器作りを始め、今年2月に完成させていた。
測定器は重さ200キロ。アルミ製の箱(縦1.3メートル、横1.5メートル、高さ1メートル)の中に、ミューオンが通ると光を出す板状の検出器二つが1メートルの間隔を空けて設置されている。
本年度は村内外の26人が参加。9月に埋葬施設の多くが前方後円墳の後円部にあることを学び、実際に同古墳に行って測定器を置ける場所を調査した。結果、後円部の中心点から約30メートル南の場所に置くことを決めた。
この日は17人が古墳近くに集まり、業者がクレーン車を使って測定器を設置する様子を見守った。電源に接続してミューオンの測定が始まると、児童、生徒は歓声を上げた。
昨年度から続けて参加している同県水戸市立内原小6年の田中尊さん(11)は「みんなで作った測定器で埋葬施設が見つかってほしい」と期待を込めた。
ミューオンの測定は約3カ月続け、毎月1回、データの解析も行う。J-PARCセンターの小林隆センター長は「ようやく測定を始めることができ、良かった。どんな結果が出るかわくわくする」と話した。
児童、生徒は、来月からもう一つ同じ測定器を作り始める。本年度中に完成させ、来年夏以降に後円部分の東側に設置し、2台で測定を行う予定。
同事業について、村は歴史と最先端科学を合わせた村独自の文理融合教育に位置付ける。村教委生涯学習課の担当者は「幅広い視野を持った子どもの育成につなげたい」と狙いを語った。