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「県民守る」気概に感服 逮捕術や警備訓練に気迫 茨城新聞記者が警察学校体験

約5キロの重さに耐えきれない記者(中央)。盾を支える腕が下がってしまった=茨城町上石崎の県警察学校
約5キロの重さに耐えきれない記者(中央)。盾を支える腕が下がってしまった=茨城町上石崎の県警察学校


県民の安心安全を守るため、若手警察官が日々訓練に打ち込む茨城県茨城町上石崎の県警察学校(永沼義道校長)。犯人制圧に必要な逮捕術、重い盾を構える警備訓練、職務質問の方法。茨城新聞記者が同学校に体験入校し、訓練の一部に挑戦した。

警察学校は、採用された新人警察官が6~10カ月在籍する研修機関。現在は18~34歳の男女計47人が在籍している。

記者が武道場に足を踏み入れると、初任科生は微動だにせず待っていた。最初の訓練は逮捕術。必要最低限の攻撃で犯人を制圧する格闘術だ。剣道や柔道、ボクシングなどの要素が取り入れられているという。

初任科生の気迫あふれる声、自分から決して目をそらさない姿に戸惑う。「いっそ攻めてしまえ」と模擬警棒を振ると、指導教官から「警察は自分からは攻撃しない」と注意が飛んできた。警察官に求められるのは、犯人がどう動くか先を読む冷静な判断。がむしゃらに突進しては駄目だったらしい。

次の体験は泥酔者を保護する実務訓練。会場の体育館では、「泥酔者」役を務める教官が「俺は警察が嫌いなんだよ」と怒鳴り声を上げる。初任科生2人と駆け付けると、空き缶を並べて座り込んでいた。失礼ながら、うつろな目と力が抜けた様子は本物の酔っぱらいにしか見えない。

恐る恐る「大丈夫ですか」と声をかけると、鋭い視線を向けられて次の言葉が出ない。隣の初任科生は無線で連絡したり、「泥酔者」に対応したりして手際よく立ち回る。柔和な姿勢で粘り強く身元を聞き出し、最後まで見届ける根性に感嘆した。

初任科生にフォローされながら体験入校も折り返しを過ぎたころ、最大の試練が訪れる。先輩記者から最もしんどいと聞かされていた警備実施の訓練だ。

重さ約5キロのジュラルミン製の盾を構えて頭を潜めると、教官は「このままじゃ押しつぶされますよ?」と容赦なく盾を押す。体勢が崩され、頭を盾にぶつけた。誤った持ち方は自分だけでなく、他の警官にも迷惑がかかる。「ヤワな」構えでは、地域の安全を守れないのだ。

その後は投石や空き瓶が投げられる事態に備え、盾を頭上に掲げる訓練。重さに耐えられず腕が下がり、ふらふらと盾が揺れる。

最後は盾を構えながら2キロの持久走だ。必死に食らいつき、終了後のダッシュ数本もやり遂げたが、整列時にはへたり込んで完全にダウン。それでも、初任科生の「チームなので、一緒に頑張りましょう!」との励ましがうれしい。現場で発揮される連帯は、これら厳しい訓練を乗り越えた先に生まれるのだろう。

訓練に付き添ってくれた安部ひかり巡査(18)は「常に前を向き、県民の皆さんを守り、存在を誇れる警察官になりたい」と目標を語ってくれた。

現場を常に想定した訓練を繰り返す初任科生たち。警察学校は、県民を守る使命を胸に刻んだ若者が、心と体を磨き上げる場だった。



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