宇宙機器、共同受注へ 34社参画 茨城県、ネットワーク設立
茨城県は31日、宇宙機器に特化した共同受注体制「IBARAKIスペースサプライネットワーク」を立ち上げた。高度な技術を持つ県内のものづくり企業が一体となり、国内の宇宙機器サプライチェーン(供給網)に対応する。発足・PRイベントが同日、東京都内で開かれ、大井川和彦知事らによるパネルディスカッションや、参画企業による技術紹介が行われた。
受注体制づくりの背景には、国全体で宇宙機器の開発や実証が活発化している事情がある。宇宙関連の企業や大学、研究機関にとっては部品ごとに発注先が異なることや、海外製品の価格高騰などが課題だ。これらを踏まえ、高い技術や知識を持つ茨城県のものづくり企業が集まり、関連産業の要望に応える。参画企業は事業拡大や技術力向上も期待できる。
同ネットワークは事務局が窓口となり、依頼内容に応じて参画企業をマッチングする。受注するのは宇宙機器や小型衛星の部品、ソフトウエアなど。将来的にはコンポーネント(主要部品)も視野に入れる。
展示会の出展や宇宙機器開発に関する勉強会を開き、宇宙関連の人材育成にも取り組む。10月1日時点で金属加工や樹脂成型、ソフトウエア開発など県内企業34社が参画している。
都内で開かれたイベントには、宇宙関連企業の関係者ら約100人が出席した。立ち上げの背景を説明した大井川知事は「どの企業も宇宙ビジネスに情熱を持っている」と強調し、広く利用を呼びかけた。
宇宙産業関係者らによるパネル討論会や、いばらき宇宙ビジネススーパーバイザーを務める宇宙飛行士の土井隆雄氏による特別講演も行われた。県科学技術振興課の小貫智也課長は「宇宙ビジネスは伸びしろがある一方、参入への敷居が高い。そこを手助けして、一緒に挑戦していけたらいい」と期待を込めた。