小中高暴力行為 最多5021件 茨城県内、23年度 文科省調査 不登校は7987人
茨城県内の国公私立小中高校で2023年度、暴力行為の発生件数は5021件で過去最多だったことが31日、文部科学省の問題行動・不登校調査で分かった。22年度から1239件(33%)増えた。県教委は「コロナ禍で対面の機会が減少し、集団生活になじめない児童生徒が増えたことなどが影響したのではないか」と分析する。
校種別で見ると、小学校が3633件(40%増)、中学校が1215件(16%増)、高校が173件(26%増)で、6年連続で増加した。内容別では生徒間暴力が3750件で最も多く、器物破損が712件、対教師暴力が526件、対人暴力が33件だった。
21年度まで2000件台で推移していたが、22年度に3782件となり急増した。背景について、県義務教育課の担当者は「コロナ禍の行動制限で集団生活になじめない児童生徒が増加したことや、軽微な暴力でも報告を徹底したことなどが考えられる」と分析する。
茨城キリスト教大文学部児童教育学科特任教授で教職支援センター長の本多清峰さんは、暴力行為に対し「経験豊富な教員から若手教員などへ対応の仕方が上手く引き継げていないのではないか」と指摘する。「熱心に耳を傾け、児童生徒の心を第一に考える指導が未然防止につながる」と語った。
県教委は今後、問題行動のある児童生徒の個別指導計画を立てるなどの対応を行い、暴力行為を生まない環境づくりに取り組む。
同調査では、このほか県内小中学校の不登校の児童生徒数やいじめの認知件数も公表した。
不登校の児童生徒は小学校2978人(9%減)、中学校5009人(5%減)の計7987人で、12年ぶりに減少に転じた。
県教委は理由に「早い段階からスクールカウンセラーや病院など専門家や専門機関と連携することができた」ことを挙げ、「児童生徒が学校に登校しやすい学習環境の整備に努めたい」と話した。
いじめ認知件数は2万6675件(8%増)で、3年連続で増加し、過去3番目に高い水準。校種別では、小学校が2万512件(5%増)、中学校が5731件(21%増)、高校が358件(24%増)、特別支援学校は74件(17%減)だった。