市町村決算 茨城県内歳入3年連続減 一般財源、余裕度最低
茨城県内44市町村の2023年度決算(普通会計)は、新型コロナウイルス感染症の交付金などが減り、歳入が3年連続で減少した。県が2日までにまとめた。歳出は物価高に対する支援給付金などが増え、2年連続で増加。数値が高いほど一般財源の余裕度が低いとされる経常収支比率は、全体で前年度から1.6ポイント悪化の92.6%に上昇し、記録の残る2000年以降で最も高い数値となった。
県によると、44市町村の歳入総額は前年度から0.3%減の1兆4109億円だった。基金への繰入金やふるさと納税が増加した半面、新型コロナ感染症対策に関連した交付金などの国庫支出金が前年度から7.2%減ったほか、臨時財政対策債などの地方債が13.6%減ったことが影響した。
歳出総額は0.6%増の1兆3454億円で、前年に続き増えた。日立市の清掃センター設備改良事業費をはじめとする衛生費が減った一方で、物価高騰対応重点支援給付金などの民生費が4.2%増加。このほか、昨年の台風13号被害に伴い、道路や同市本庁舎などの災害復旧費が34倍に増加した。
市町村の決算規模は新型コロナ感染症関連経費の影響で、20年度に大きく上昇した。21年度以降は給付事業終了をはじめとする国庫支出金が減るなどして減少傾向が続き、1兆2000億円台だったコロナ禍前の水準に戻りつつある。
歳入、歳出の差引額から24年度へ繰り越す財源を除いた実質収支は、49年連続で全団体が黒字だった。23年度の単年度収支が赤字となったのは35団体で、全体では145億円の赤字だった。
財政の弾力性を示す経常収支比率は、給与改定に伴う人件費の増加や物価高騰、労務単価上昇による物件費増などにより、前年度から悪化。経常収支比率が90%を超える市町村は前年度から7団体増え、34団体となった。
市町村の借金に当たる地方債の合計残高は2.3%減の1兆1197億円。臨時財政対策債の新規発行額が減るなどし、2年連続で減少した。積立金現在高は財政調整基金や減債基金の積立額が前年度より減ったことで、1.1%減の3489億円だった。
県市町村課は実質収支が黒字を維持しているほか、全市町村で自主的な財政改善努力が必要となる早期健全化基準を下回っていることを踏まえ、「全ての市町村で健全な財政運営が行われている」と説明。その上で「義務的経費や物件費の増加が続いているので、さらなる取り組みが必要」としている。