校舎・体育館を一体化 来夏にも着工 移動スムーズに 茨城・神栖に特別支援校
2027年4月開校予定の茨城県立神栖特別支援学校(仮称)の基本設計がまとまり、施設の概要が明らかになった。校舎と体育館を一体化で整備し、教室などの配置をロの字型とすることで、県教委は「校内の移動がスムーズになる構造」と説明する。今後は年度内に実施設計をまとめ、来夏にも建設工事に入れるよう手続きを進める考えだ。
同校は神栖市須田の市若松運動場の隣接地約2万平方メートルに建設される。校舎・体育館を一体とすることが特徴の一つで、教室や実習室などはロの字型にコンパクトに配置し、「憩いの場となる」(県教委)中庭も設ける。
建物は2階建てで、1階は鉄筋コンクリート造り、2階は木造。柱や梁(はり)などは県産木材を活用する。普通教室を計35室、多目的室2室を設け、肢体不自由を重複して有する児童生徒に対応し、エレベーター、医療的ケア室、外スロープを整備する予定。このほか、流動食などの個別対応食調理を行うため、再調理室も整備する方針だ。
このほか、屋根下で乗降できるバスターミナル、約160台分の駐車場、運動場の広さは4580平方メートルあり、圃(ほ)場も計890平方メートル用意する予定だ。
同校には市内に住む知的障害の児童生徒約150人(小・中学部100人、高等部50人)が通う予定。現在の同市内の児童生徒は鹿行5市が通学エリアの同県鹿嶋市沼尾の県立鹿島特別支援学校に通っており、通学距離が長い児童生徒で約80分の通学時間を要しているが、開校により通学時間は半分になり、負担が減る見込み。
県内の特別支援学校は県立23、国立1、日立市立1の計25校あり、新たな開校は2019年の「県立石岡」以来。近年は廃校となった校舎の改修・増築が多く、校舎が新設される開校は07年の県立つくば養護学校(当時)以来。
実施設計に向けては、教育現場の意見を踏まえ、各部屋の詳細を決めていく。県教委特別支援教育課は「児童生徒一人一人に寄り添い、スムーズな開校につなげられるよう、しっかりと準備したい」としている。