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中村彝の画業たどる 没後100年展 茨城県近代美術館で開会式 

開会式後に中村彝の代表作を鑑賞する美術関係者=水戸市千波町
開会式後に中村彝の代表作を鑑賞する美術関係者=水戸市千波町


茨城県水戸市出身の洋画家で大正期に活躍した中村彝(つね)(1887~1924年)の没後100年を記念する企画展「没後100年中村彝展-アトリエから世界へ」が、同市千波町の県近代美術館で開かれている。同館での彝の回顧展は21年ぶり。盲目のロシア人の詩人を描いた「エロシェンコ氏の像」(20年、重要文化財)をはじめ、37年の生涯で残した代表作約120点を集めている。開会式が12日、同館で行われ、大井川和彦知事や県内の美術関係者ら約120人が彝の輝く画業をたどった。

旧水戸藩士の家に生まれた彝は、幼くして両親を亡くし、11歳で長兄を頼って上京する。当初、兄2人に倣って軍人を目指したが、17歳の時に肺結核にかかり断念。翌年、転地療養していた際、絵画に光明を見いだす。その後、病魔と闘いながら、東京のアトリエを拠点に創作を続けた。画業は20年にも満たなかったが、ルノアールやセザンヌなど西洋画家の形式をいち早く取り入れ、多くの傑作を生み出した。

単独開催となる同展は、彝に関する最新の研究成果を踏まえ、各地に所蔵されている人物画や風景画などの代表作とともに、支援者との交流を伝える関連資料、同館が所蔵する遺品などを基に日本美術史に輝く足跡をたどる。

主な作品は「エロシェンコ氏の像」をはじめ、同館での展示は35年ぶりとなる「巌」(09年)と「海辺の村(白壁の家)」(10年)、約半世紀ぶりに公開となる「リンゴと瓶のある静物」(12年ごろ)、交流のあった少女をモチーフにした「少女裸像」(14年)、関東大震災後に描いた「頭蓋骨を持てる自画像」(23年)など。影響を受けたルノワール作品「泉による女」(14年)も並ぶ。

開幕式で荒屋鋪透館長は「彝の回顧展は前身の県立美術館時代から数え5回目。今展は最新の研究成果により新たな価値を見いだされ、内容がさらに充実した」とあいさつした。

同展は来年1月13日まで。同館(電)029(243)5111。



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