茨城県警、災害対処力を強化 資機材整備進める
激甚化する自然災害への対処能力を高めるため、茨城県警は資機材の整備や訓練、関係機関との連携強化を進めている。滝沢幹滋本部長はブロック別の署長会議を通じ、全27署長に災害対策や資機材の整備を呼びかける。各署からの要望を吸い上げ、過去の経験なども踏まえた上で、より実効的な対策を構築しようとしている。
■意見の交換
県警は20日、同県ひたちなか市のひたちなか署で、近隣9署を対象にしたブロック別署長会議を開いた。各署長や本部の警備部長、交通部長らが出席。災害対処能力の向上をテーマに、各署が取り組みを紹介したり、本部への要望を伝えたりして意見を交わした。26日までにつくば、鉾田両署でそれぞれブロック会議を開き、全27署の意見を聴く。
会議前に、同署の災害対策資機材の点検を行った。ひたちなか署の梶山志信署長から説明を受けた滝沢本部長は「救命胴衣の数はもっと増やすべき」「これからの災害に署でドローンが活用できるといい」などと助言した。
■消防の助言
県警警備課によると、本年度は県の予算で水難救助用のヘルメットを全署に配備した。これまでは水害対応時も通常業務用のヘルメットを使用していたが、合同訓練をしている消防から「水が抜けず危ない」と指摘されたことから、頭上に穴が空いているモデルの導入を決めた。
近年は資機材整備が進み、全署に災害救助ボートや胴長を配備した。昨秋の台風13号に伴う大雨では、高萩署員が同ボートを活用して男女2人を救出した。
■完成形なし
集中豪雨や台風が発生しやすい出水期に備え、県警は巡回連絡で地域住民に早期避難を働きかけたり、防災意識の高揚に向けた防災講話を年間で千回以上開催したりしている。自主防災組織など2000超の団体に避難訓練の実施を呼びかけ、連携を強化。過去の風水害で得た教訓を踏まえ、複数署や消防との合同訓練も実施している。
20日の会議で滝沢本部長は、各署長に対して、管轄区域内の実態把握や装備資機材の整備と活用、災害対処能力の底上げを指示。「警察の危機管理体制に完成形はない。災害情勢や社会の変化に敏感となり、新たな知見を積極的に取り入れ、将来にわたって災害対処能力を高めていくことが目標」と訓示した。