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マイナ保険証 周知に力 国、12月2日から一本化 茨城県内医療機関 省力、不具合も

クリニックの受付に置かれたマイナ保険証の読み取り装置=水戸市内(画像の一部を加工しています)
クリニックの受付に置かれたマイナ保険証の読み取り装置=水戸市内(画像の一部を加工しています)


現行の健康保険証が12月2日以降、新たに発行されなくなり、マイナンバーカードに機能を持たせた「マイナ保険証」に一本化される。医療機関などで、情報入力の省略や処方薬の情報共有など利点を実感する一方、正しいデータが表示されないなどの不具合に懸念の声も上がる。マイナ保険証の利用率は全国・茨城県ともに9月時点で2割に満たず、国や県は周知と利用促進に力を入れる。

■利点さまざま

11月中旬、午後の診察開始が近づいた水戸市内のクリニック。受付の隅に置かれたマイナ保険証の読み取り装置に、患者がカードをかざしていた。

「情報がすぐにパソコンに飛ぶので、現行保険証で必要な手入力を省くことができる」。事務方の50代男性は、業務の円滑化につながる可能性を示した。

県南地域の医療機関に勤める事務職の40代女性は、医療情報の共有(患者の同意に基づく)に利点を実感する。患者が「飲んでいない」と説明していた薬が、実は別の病院で処方されていたことが分かり、「適切な診療に役立った」。

厚生労働省はマイナ保険証のメリットに、医療情報共有などでより良い医療が受けられる▽手続きなしで高額療養費の限度額を超える支払いが免除▽確定申告時に医療費控除が簡単にできる▽手入力省略など医療現場で働く人の負担を軽減-の四つを挙げ、周知を図ってきた。

■トラブル76%回答

装置の設置から約1年となる同クリニックでは、これまでに文字が正しく表示されない、負担割合の変更が反映されていないなど不具合が複数発生した。利用率は1割程度。前出の男性は「一本化が進むことでトラブルが増え、業務負担になるのでは」と嘆く。

機器に慣れない高齢者も多く、受付がさらに混雑する恐れもある。

県保険医協会が会員医療機関を対象とした8月実施の調査(回答数370件)では、利用を巡るトラブルについて76%が「あり」と回答。不具合別では「名前や住所が●(黒丸)で表示」が約8割、「資格情報の無効」が5割以上と続いた。12月以降の懸念で「受け付け業務に忙殺される」は6割超に上った。

同協会などが1~2月に行った県内在住者への調査では「紛失が心配」など、情報管理の面に問題があるとする声もあった。

■円滑交付へ

12月2日以降、現行保険証は有効期限の範囲で最長1年間使用できる。マイナ保険証を持たない人には、期限内に保険証代わりの「資格確認証」が届く仕組みだ。厚労省の公表資料によると、9月時点の茨城県のマイナ保険証利用率は15.5%。全国の13.9%をやや上回るが、低調が続く。

県保健政策課は、県医師会や県薬剤師会などを通して各医療機関に患者への利用呼びかけを依頼。さらに「メリットを知ってもらうことが大切」とし、広報紙などを通じて周知を図る。

国民健康保険は基本的に、現行保険証が来年7月末に有効期限を迎える。県人口の2割相当の約60万人が加入している。同課の担当者は、市町村による国保の資格確認証交付が円滑に進むよう「必要に応じて支援していきたい」と話している。



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