鹿島神宮前に観光拠点施設 25年完成 飲食や土産、案内所も まちづくり鹿嶋 茨城
鹿島神宮(茨城県鹿嶋市宮中、東俊二郎(とうしゅんじろう)宮司)の大鳥居近くに来年、新たな観光拠点施設が建設される。結婚式場などとして使われてきた建物を解体し、同市の地域活性化に取り組む「まちづくり鹿嶋」(猿田博明社長)が整備を手がける。地元の飲食・土産店などが入居し、豊富な食材をPRするほか、観光情報の発信にも力を入れ、周辺のにぎわい創出を図る。
同神宮には年間を通じて全国から多くの参拝客が訪れるが、「参拝後に周辺を歩く人は少なく、他の市町村にはない観光資源を生かし切れていない」(同社)という課題が解消されていない。そうした中、新型コロナウイルスの感染拡大以降に営業を取りやめ、現在は空いたままの結婚式場「新仲家」に着目した。
新仲家は大鳥居から徒歩1分以内の好立地。かつて民間事業者が経営していたが、後に建物と土地ともに同神宮所有に変更となった。同社が「これまで果たしてきた役割を踏まえつつ、新たな魅力発信の場所にしたい」と相談し、新施設建設への方向性が定まった。
解体は早ければ年内にも始まり、来年中の建物完成を目指す。施設は1階建てで、県産木材をふんだんに活用する予定だ。延べ床面積は約710平方メートルあり、テナントには地元の土産店のほか、地元食材を取り扱う海鮮や中華などの飲食店など八つが入る予定で、観光案内所も併設される。
このほか、約230平方メートルの広さのホールも設け、祭事の直会(なおらい)や結婚式、ツアー団体客の食事なども受け入れていく。建物の一部にはウッドデッキテラスを造り、定期的に各種イベントを実施していく。周辺はサクラを中心に植栽する考えだ。
同社でタウンマネージャーを務める済藤哲仁(さいとうてつじ)さんは「鹿島神宮の参拝客の滞留時間を少しでも増やし、周辺の店舗とともに、にぎわいを創出するような施設にしていきたい」と意気込む。