別の障害者施設でも虐待か 東海村・愛信会 弁護団、茨城県に通報
茨城県東海村の社会福祉法人愛信会(村上忠夫理事長)が運営する指定障害者支援施設などで、職員による利用者への虐待が相次ぎ確認された問題で、施設関係者から依頼を受けた弁護団が27日、別施設でも虐待の疑いがあるとして、県に通報したと明らかにした。県庁で記者会見した常岡久寿雄弁護士は「処分権限を持つ県はきちんと監視してほしい」と述べた。
弁護団によると、虐待の疑いがあるとされたのは、同法人の運営する同村石神内宿の障害者施設とグループホーム(GH)「幸の実園」。利用者を農作業に従事させたり、職員の旅行代や日用品代などを不正に徴収したりしていたという。通報は24日付で、書面で行った。
通報書などによると、施設の海外旅行で利用者に職員の費用の一部を負担させたり、別の建物にヒノキ風呂を設置した費用として利用者14人から了承のないまま計約326万円を徴収したりしたとされる。風呂は施設から離れている上、完成後しばらくすると、利用者は使えなくなったという。また、利用者自身の承諾を得ずに炎天下で農作業に従事させたり、休日の利用者に早朝から朝市の準備をさせたりしたという。
利用者の被害額は、弁護団によると少なくとも数百万円に上る。施設関係者から弁護団に相談があり、発覚した。弁護団は「職員個人の問題と矮小(わいしょう)化されるのを懸念している。これは組織的な虐待だ」と訴えた。
県障害福祉課の担当者は「通報を受けたので、調査を行う予定」と話した。同法人は取材に対し、代理人を通じて「現在、通報の内容を把握していないので、現状説明できることはないが、県から調査などがあった場合には、誠実に対応する」などとコメントした。
同法人を巡っては、障害者施設とGHの「第二幸の実園」で2008~21年ごろ、職員による利用者への暴行や金銭の不当徴収といった行為が少なくとも19件確認。県が24年5月、いずれも3カ月間の指定効力の全部停止処分を決定した。同処分は法人でなく施設とGHに対するもので、期間は11月17日に終了している。