富士山の情景、多彩に 横山大観展が開幕 茨城・筑西
茨城県水戸市出身の日本画家、横山大観の作品を紹介する「-近代日本画の巨匠-横山大観展」が28日、同県筑西市大塚の廣澤美術館で開幕した。第1回文化勲章を受章し、世間で評価され始めた頃から晩年までの作品を展示。日の出や雪景色、雲海など、多彩な富士山の情景を描いた日本画やびょうぶを中心に約30点を並べた。
同館によると、大観は1920年ごろから富士山を描き始めた。力を入れるようになったのは40年ごろ。第2次世界大戦が始まった影響で、絵を描くことで国に報いる「彩管報国」の精神で作品制作に取り組むようになり、日本の象徴として富士山を描いていたという。作品の売り上げを寄付し、軍用機を献納したこともあったとされている。
会場で特に目を引くのは、三隻のびょうぶ絵「不二山」。それぞれのびょうぶに、雲から垣間見える雪がかった富士山、飛び立つ鶴、松といった縁起物が淡い色調で描かれている。他にも、白い雪野原の背景にそびえる群青の富士山を表した「秋」、富士山と日の出を神々しく表現した「神國日本」などが並ぶ。
福嶋達也副館長(37)は「正月を前に、富士山や朝日、松竹梅など縁起のいい作品を集めた。さまざまな富士山の作品があるので、描き方の違いを見てほしい」と呼びかけた。
前期と後期に分けて開催し、前期は来年1月26日まで。後期はびょうぶ絵など複数の初公開作品の展示を検討している。