「松風中」再考求め5689筆 茨城・日立 住民ら署名簿提出
茨城県日立市立坂本中と久慈中が統合して来春開校する新校名を「松風」と定めた市条例を巡り、校名の再考を求める住民グループは29日、条例の改正を市長に直接請求するために集めた署名簿を市選挙管理委員会に提出した。請求に必要な署名数は有権者の50分の1(2887人)で、その2倍近い5689筆の署名が集まった。
提出したのは地元住民でつくる「松風中学校名の削除を求める会」。署名活動は10月28日から11月24日まで行った。会は「地域の意見が反映されていない中で決定したものを受け入れることはできない」と主張し、統合後も校舎を利用する「久慈中」の存続を求めている。
市選管は署名が有効かどうか20日以内に審査する。その後、署名簿の縦覧を経て、会側は有効とされた署名簿を添えて市長に本請求する。請求を受けた市長は20日以内に市議会を招集し、条例案に意見を付けた上で議会に諮らなければならない。
両校の統合は少子化を受けて市が進める学校再編計画の一環で、中学校の統合は1例目となる。教員や両校区の代表者らでつくる統合準備委員会が生徒や住民から校名案を募集し、196案の中から委員会が選定した。3月市議会で正式決定した。
同会は「選考過程が不透明だった」として地元の住民有志が発足。29日は代表を務める鴨志田征央さんと三代喜良さんらが市役所を訪れ「市全域で学校の統合が控えている中、学区内外に賛同の輪が広がり予想以上の数が集まった。地域の名前を大切にする住民の思いを受け止めてほしい」と話した。