革工芸の美しさ表現 河野さん、市川さん2人展 茨城県陶芸美術館
皮革を素材に独自の表現を展開する作家2人のテーマ展「革のかたち 河野甲と市川陽子」が、茨城県笠間市笠間の県陶芸美術館で開かれている。革の性質を生かして造形された箱やオブジェなど27点が並び、両者がそれぞれ追求する革工芸の美しさを堪能できる。
河野甲さんは1956年、愛媛県生まれ。昆虫や妖精のような架空の生物など、細部まで作り込まれリアリティーあふれる造形が特長。2匹のカタツムリが絡み合う「両性具有」は柔らかな体と固い殻とが巧みに表現されている。
市川陽子さんは1985年、大阪府生まれ。革を縫い合わせて漆を塗り、硬化させる技法で箱や器を制作している。代表的な漆皮箱のシリーズ「Mimic」などを展示。血管の痕が感じられるものもあり、静かな存在感を放っている。
同館主任学芸主事の岩井基生さんは「革ならではの独特の質感を生かして表現している。ぜひ足を運んでほしい」と呼びかけている。会期は15日まで。月曜休館。