茨城県産技専門学院の再編提言 検討会「5から2に」
ものづくり人材を育成・輩出する茨城県立産業技術専門学院について、外部委員による検討会が現在の5カ所から2カ所への再編を提言していたことが10日、分かった。県が同日の県議会防災環境産業委員会で報告した。今後、県は関係機関への意見聴取などを行い、方針を決定する。
産業界や教育機関の学識者らが委員を務める「県立産業技術専門学院のあり方検討会」が11月中旬にまとめた。報告書では、通学利便性などの観点から「水戸、土浦の2学院に再編」「製造系の訓練科を水戸に集約することが適当」と提言した。機能や人員を集約することで、最新設備の導入や訓練内容を充実させる。
同学院は職業訓練校として1946年から各地に設置され、現在は水戸、日立、鹿島、土浦、筑西の5カ所ある。少子化や大学進学率の上昇などを理由に大幅な定員割れが続き、今年4月時点では全体の定員415人に対し、在籍者は231人、定員充足率は56%にとどまった。
県産業人材育成課によると、特に製造分野(機械、金属、電気)で低迷する。水戸と土浦は製造系のほか、自動車整備や電子・情報分野の学科も開設し、定員充足率は6割以上を確保。日立や鹿島、筑西は製造系の学科のみで、充足率は筑西が最も低い27%だった。
建物の老朽化も課題とされた。水戸を除く4施設で築年数が50年を超える。今後、修繕・改築費の増加が見込まれるほか、訓練設備の更新遅れや、デジタルを活用した訓練が不十分などが懸念される。
こうした状況を受け、県は6月、外部委員による学院の「あり方検討会」を設置。現地視察を行い、学院の役割や方向性を議論してきた。
県は提言を踏まえ、商工会議所など関係機関に意見を聴取したほか、年内と年明けに卒業生の採用実績がある企業向けに説明会を開き、意見を集約する。高校にも現状を周知した上で方針を決定するという。
同課は「丁寧に意見を集約した上で、方針を示す」とし、具体的な時期は明らかにしていない。