全国障スポ陸上で躍動 水戸特別支援校・小松さん スラローム金 ビーンバッグ投銀 初出場快挙、力強く 茨城
茨城県立水戸特別支援学校(同県水戸市吉沢町)の高等部2年、小松光喜さん(17)が「第23回全国障害者スポーツ大会『SAGA2024』」(10月26~28日、佐賀県佐賀市など)の陸上競技スラロームで金メダル、同ビーンバッグ投で銀メダルを獲得した。小松さんは脳性まひのため、小学部1年から車いすでの生活。初出場で快挙を成し遂げた小松さんは、次の目標を「スラロームで連覇」と力強く語った。
スラロームは全長30メートルの直走路に置かれた赤白のポールの間を前進、後進、ターンしながら通過しタイムを競う。ポールを倒すと1本につき5秒加算される。
ビーンバッグ投は大豆などを入れた重さ約150グラム、12センチ四方の袋を車いすに座った姿勢で投げ、飛距離で順位を決める。
小松さんはスラロームを始めてまだ1年。ビーンバッグ投は中学部に上がってから体育の授業で始めて5年ぐらい。父親、秀徳さん(49)の「何でもいいからやりたいものを」との方針で、それまでは6年ほど車いすテニスを試していた。
「これまで本人が全然興味がなかった。何か1回やってみようか」と母親の美穂さん(54)が促し、小松さんは6月に行われた全国大会の県予選に今年初めて参加。規則で2種目参加することになっており、スラロームとビーンバッグ投に出場、両種目とも1位となった。「まさか佐賀に行くとは思っていなかった。取りあえず出てみようか」と力みなく、初の全国大会を迎えることになった。
県内の出場選手が集まる練習に参加し、フィットネスクラブで専門的なコーチから車いすの動かし方や体幹トレーニングの指導を受け準備を重ねた。
全国大会でスラロームの本番は1本勝負。「自己ベストではなかった。前半は走りが重く感じた。緊張もあった。後半は自分のモードに入った」と小松さん。「体が覚えている」と力強くこぎ、車体をコントロールしてポールをスムーズに回り駆け抜けた。タイムは45秒7と他の選手を圧倒。優勝が決まった瞬間は「びっくりしたし、感動した」。県選手団から温かい言葉で祝福も受けた。
ビーンバッグ投は3回連続で投げ、着実に飛距離を伸ばした。「スラロームよりは自信がなかった」と語るものの記録は6メートル2センチで首位に迫る健闘を見せた。
初めて両親と離れ、初めて乗る飛行機で5泊6日の遠征。「大冒険だった。県選手団の人々と話したりして楽しく過ごせた」と貴重な経験も積んだ。学校関係者から「次はダブル金で」と期待も集まる。
自分の世界に入れるスラロームに夢中という小松さんは「スラロームを続けたい。目指すのは2連覇。練習を重ねる。ビーンバッグ投も続ける」と来年の滋賀県で開かれる大会に向け目標を語った。