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32言語医療通訳サービス 茨城県内開始 電話、アプリで

多言語遠隔通訳サービスを試用するニカラグア出身の田中アルバさん=県庁
多言語遠隔通訳サービスを試用するニカラグア出身の田中アルバさん=県庁


日本語が不自由な海外出身者を支援するため、茨城県は医療機関受診時に年中無休・無料で通訳を行う「多言語遠隔通訳サービス」の提供を開始した。ビデオ通話や電話などを使い、県内在住の外国人をほぼカバーできる32言語に対応する。これまでに薬局を含む約190の医療機関が利用登録した。県内では人手不足などを背景に海外からの人材が広く活躍し、県は「外国人の方が住みやすい環境づくりを促進したい」としている。

同サービスは、医療に特化した通訳の専門会社「メディフォン」(東京都)に委託し、11月15日にスタートした。本年度分の事業費は約1000万円。

機能は電話、専用アプリによるネット通話、双方向のビデオ通話を活用した通訳、AI(人工知能)によるチャット翻訳の四つ。利用時間帯が決まっているビデオ通話を除き、24時間提供する。固定電話や携帯電話、デジタル端末は、利用登録した各医療機関が用意する。

英語、ベトナム語、中国語、タガログ語、インドネシア語など計32言語に対応し、県内在住の外国人の約99%をカバーできる。

ビデオ通話の通訳を試用した海外出身者は自身の日本語での苦労を踏まえ、今回の事業に好評や期待を寄せた。

デモンストレーションでビデオ通話の通訳を試用したスペイン語圏のニカラグア出身で陶芸家の田中アルバさん(67)=同県石岡市=は「よく聞き取れた」と、同サービスの質を高く評価した。来日当初の約30年前、日本語がほぼ分からず、子どもに与える粉ミルクの分量を間違ったことがあるといい、「こんなサービスがあったらよかった」と話した。

ベトナム国籍で飲食店経営のダオ・ホン・マインさん(37)=同県水戸市=も試用し、「問題なくやりとりできた」と好印象を抱いた。日本語学校の講師に通訳を頼って受診した12年前の来日当初の体験を振り返り、「良い取り組み。来日したばかりの人にとって安心」と太鼓判を押した。

県は登録医療機関の一覧を県ホームページに掲載するとともに、さらなる拡大を図る。登録は6日現在で189件。開始した11月15日の122件から約1.5倍に増加した。

県医療政策課の担当者は「外国人患者と医療機関が相互に安心して受診・診療できる体制を整え、外国人の方が住みやすい環境づくりを促進したい」と話している。



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