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茨城県全域 盛り土初調査 県、25年度末までに

茨城県庁=水戸市笠原町
茨城県庁=水戸市笠原町


危険な盛り土を規制し土砂災害を防ぐ「盛土規制法」が昨年施行されたことを受け、茨城県は初めて、県内全域で盛り土の実態調査に乗り出す。県内で造成された全ての盛り土の規模や土質の状態、周辺環境なども含め2025年度末までに把握し、問題のある場所は改善する。崩壊や土石流被害を事前に防ぎ、住宅地や山間部の安全確保につなげる。

盛土規制法は静岡県熱海市で発生した大規模な土石流被害を受け、2023年5月に施行。都道府県や政令指定都市などに5年に1回の頻度で、造成面積が3000平方メートル以上の既存の盛り土を対象とする基礎調査を義務付けた。

同法は豪雨などで盛り土が崩れる危険性がある区域を知事や市長などが指定し、区域内での造成工事を許可制とすることも定めた。茨城県は25年度、全域が規制区域に指定される見通しで、造成工事には県知事や各市町村長の許可が必要となる。

こうした状況を受け、県は全域で、本年度から25年度にかけて盛り土調査を行う。造成場所の土質や地盤のほか、崩落の危険性、住宅や人の往来など周辺を含めた詳細な調査を進める。不適正な盛り土は所有者に対し規制法に基づく改善命令を出すほか、従わない場合は公表も視野に入れる。

調査はこれまでに市町村が実施した「大規模盛り土造成地調査」の結果や衛星による写真データなどを活用。地形状況の変化などを確認した上で、実際に現地調査を行い危険性などを判断、把握する。

県廃棄物規制課によると、23年度中に県や市町村の残土条例に基づく許可を受けずに造成された盛り土は44件。22年度の県条例厳格化で小規模な盛り土も県への届け出が必要となったことで、21年度の105件をピークに減少傾向にあるものの「いまだ無許可の埋め立ては一定数残る」(同課)状況にある。

首都圏に近接することから、茨城県に残土が運び込まれるケースは少なくない。このため、県は同規制法に基づく「3000平方メートル以上」の調査だけでなく、小規模の盛り土についても調べていく方針だ。

同課は「ここまで大規模に行う盛り土調査は過去にない」とし、「まずは県内にどのくらい件数があり、どんな経緯で造成されたのかを把握し、安全性に問題があればしっかり対応していく」と話した。



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