大高さん、伝統支え20年 ウミウ捕獲技術者に感謝状 茨城・日立市
全国の鵜(う)飼い地に唯一ウミウを捕獲、供給する茨城県日立市で、20年にわたり捕獲技術者として従事してきた同市十王町伊師の大高敦弘さん(73)が引退することになり13日、市役所で小川春樹市長から功績をたたえる感謝状が贈られた。大高さんは「鵜飼い地に何とかいい鳥を届けたい一心だった」とこれまでの歩みを語った。
ウは全長80センチほどの大型の渡り鳥。変化に富んだ同市の伊師浜海岸の断崖はウの休憩地点となっており、春と秋の年2回、市が認定した捕獲技術者が伝統の技を駆使し、岐阜県の長良川など全国の鵜飼い地向けに捕獲している。
大高さんが捕獲技術習得者として携わり始めたのは2004年7月。前年に自然崩落した捕獲場を再建する中で、それまでも捕獲を手伝っていた大高さんに声がかかった。12年夏には捕獲技術保持者に認定され、農業と掛け持ちで今年3月まで従事し、後進の育成にも力を注いできた。
鵜飼い地への供給は年間約40羽だが、年齢や大きさで条件に合わないものも含めると捕獲数はその約3倍。日の出前からウを待っても天気などが影響し、1週間以上飛来しないこともある厳しい仕事だった。
大高さんは一番の苦労に東日本大震災を挙げ、被災した作業小屋や捕獲場に通じるルートは仲間と再整備したという。この20年を大高さんは、「大変だったけどほっとした」と肩の荷が下りた様子で話し、「やっぱり鵜飼い地から『いい鳥ありがとう』と言われると、やって良かったと思った」と笑顔を見せた。
大高さんは今後も捕獲場に足を運び、現役の50代2人をサポートする考え。後輩には「技術は伝承した。引き続き頑張ってほしい」とエールを送った。
市観光物産協会は来年度、新たな担い手を確保するため捕獲技術者を公募する予定だ。