茨城空港 機能強化案 ビル拡張や新路線 県と促進協
茨城県と茨城空港利用促進等協議会は、茨城空港(同県小美玉市)の機能強化に向けた素案をまとめた。ハード面では空港ターミナルビル拡張や駐車場の立体化、ソフト面では既存路線の拡充や国際線の新路線誘致などを盛り込んだ。素案は「茨城空港のあり方検討会」で示されており、2025年の第3回会合で作成する取りまとめ案に活用される。
県などは9~10月にアンケートや聞き取り調査を実施。航空や運送、旅行、観光、交通と地元の小美玉市など計35事業者・団体を対象に空港の施設と運用の課題を聞き、結果を短期、中長期、ハード、ソフトの四つの観点でまとめた。
ハード面では、1時間に3便程度の受け入れ体制を整えるため、まず短期的に全体の容量拡大や機能拡充を図るとした。具体的には手狭で繁忙期に混雑しているビルや駐車場の拡張をはじめ、夜間に航空機が待機できる駐機場(エプロン)の確保などを提案した。
中長期的には1時間に最大8便以上の離発着を目標とした。実現に向け、滑走路と駐機場をつないで発着を円滑にする航空機の道路「平行誘導路」の新設や、多様な機材に対応するために滑走路の延長や舗装の厚さの強化を掲げた。
ソフト面では、既存路線を拡充し、定期便の1日当たりや1週間当たりの運航本数の増大を目指すとした。またビジネスジェット(BJ)誘致の取り組みも強化。現在は無料の駐車場の有料化も検討すべきとし、ニーズや地元の意向も踏まえながら空港運用の改善を適宜行うとした。
あり方検討会は8月に設置され、専門家や関係者ら11人で構成。全4回の会合を経て、本年度末に空港の将来ビジョンを県に提言する見通しを示している。
茨城空港は現在、定期便が国内線4路線(神戸、札幌、福岡、那覇)と国際線1路線(台湾・台北)が運航。24日からは中国・上海便が再開する。連続チャーター便は韓国・清州便が来年3月までの期間限定で運航が始まった。
昨年10月、民間機の発着枠を原則1時間1着陸としてきたルールを緩和。4~10月に運航された連続チャーター便の台北・高雄路線が初めて新ルールで運航され、5月にはBJが初発着するなど、空港の利用促進に向けた取り組みが進められている。