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ワカサギ不漁 出荷過去最低 霞ケ浦・北浦 漁業者に危機感 水温上昇が影響 茨城

シラウオに数匹交じるワカサギ=行方市手賀
シラウオに数匹交じるワカサギ=行方市手賀


茨城県の霞ケ浦・北浦名産、ワカサギが今季、過去最低水準の不漁となる見込みが強まっている。ワカサギの漁期は夏から年末にかけてだが、霞ケ浦漁業協同組合(同県行方市玉造甲)と取引のある水産加工業者5社へのワカサギ出荷量は今季、わずか42キロ(16日現在)。同漁協が統計を取り始めた2013年以降で最も少なくなると見込まれている。不漁の要因として、近年続く猛暑による水温上昇の影響が指摘され、漁業関係者らは危機感を募らせている。

■商売にならぬ

「漁師歴40年以上だが、これほどの不漁は初めてで商売にならない」。17日午前7時過ぎ、行方市手賀の船だまりで、漁から戻った霞ケ浦漁協副組合長の伊藤一郎さん(58)は厳しい表情を見せた。近年のワカサギの減少を受け、今年は7月の漁解禁時からシラウオ漁をメインに出船している。

この日はシラウオにワカサギが30匹ほど交じった。伊藤さんは2、3年前からワカサギが減ったと実感している。ワカサギの漁獲は1日当たり平均20~30匹で、船の燃料代にもならず「シラウオが取れるので助けられている」と現状を話した。

■逃げ場なし

県霞ケ浦北浦水産事務所(同県土浦市真鍋)によると、霞ケ浦・北浦の合計漁獲量は1965年の2595トンをピークに年々減少傾向にあり、2020年は73トン、21年は34トン、22年は16トン、23年は4トン(速報値)にまで減少した。霞ケ浦漁協が水産加工業者5社に出荷したワカサギの量は22年は9トン、23年は820キロで、同水産事務所と霞ケ浦漁協は今年はさらに下回ると予想している。

ワカサギの生態について、県水産試験場内水面支場(行方市玉造甲)の担当者は「全てではないが、水温が26度を超えると成長が停滞し、29度を超えると生存が難しくなる」と説明する。内水面支場が週5回、霞ケ浦で平日午前10時に実施している水温計測で、水温が29度を超えた日は、7月上旬から9月末の間に今季は41日、昨年は49日あったという。霞ケ浦は水深が平均4メートルと浅く、ワカサギの逃げ場がないのも影響しているとみられている。

■正月の縁起物

霞ケ浦のワカサギは、正月の縁起物としても人気が高く、伊藤さんは「テナガエビも含め、この時期は企業から毎日20~30件の問い合わせがあり、毎日、断っている状況。自然相手なので仕方ない。我慢してやっていくしかない」と話した。



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