茨城・八千代の養鶏場で鳥インフル 今季初、全国最大規模108万羽殺処分【更新】
茨城県は29日、同県八千代町の養鶏場の鶏から、今季県内初となる高病原性の鳥インフルエンザウイルスの陽性が確認されたと発表した。同日正午から、この養鶏場で飼育する計約108万羽の殺処分を始めた。全国で今季はこれまでで最も早い10月に確認され、北海道や千葉県など11道県で15例発生している。茨城県での発生は全国で最大規模(29日時点)。県は自衛隊に災害派遣要請を行った。
県によると養鶏場では12鶏舎で採卵鶏を生産。同場では2023年にも発生している。発生した1鶏舎では約8万羽を飼育。うち約100羽が死亡しているのが見つかった。28日午後3時30分ごろ、養鶏場から「通常より死亡羽数が増えている」と、県西家畜保健衛生所に通報が入ったという。
家畜防疫員が立ち入り調査を行い簡易検査を実施したところ、10羽中死亡している8羽から陽性を確認した。県北家畜保健衛生所で遺伝子検査(PCR)を実施し、高病原性ウイルスの一つ「H5亜型」であることが判明した。
県は29日正午から、防疫処置を開始。県職員や関係者らが24時間交代制で殺処分や埋却、消毒などの防疫措置を行う方針。処分終了までに約10日を見込む。
家畜伝染病予防法に基づき、半径3キロ以内にある八千代町の養鶏場1農場で卵や家禽などの移動を禁止した。また、半径3~10キロ以内にある下妻、結城、坂東、古河の養鶏場計13農場で卵などの搬出制限が禁止となった。
県は同日、水戸市の県庁で記者会見を行った。県畜産課の福田英仁課長は、農場ごと防疫計画の策定や防疫対策の研修を行ってきたことを挙げ「発生予防にかなり力を入れていた。本当に残念」と肩を落とした。
茨城県は鶏卵産出額、飼育羽数ともに全国2位。採卵鶏は計83農場で1231万羽が飼育されている。
昨季は、笠間市の農場で発生し約7万羽が殺処分され、県や市町村の関係者など延べ約1000人が作業に当たった。
今季は10月17日に国内一例目が北海道で発生。これまでに全国で計約167万羽が殺処分の対象となっている。国内で家きんの肉や卵を食べ鳥インフルエンザウイルスに感染した事例はない。