駅員と会話 すぐ翻訳 TXつくば駅 表示機器の実験 茨城
つくばエクスプレス(TX)を運行する首都圏新都市鉄道(東京)は、茨城県つくば市吾妻のTXつくば駅で、乗客と駅係員の会話を即座に翻訳しディスプレーに表示する機器の実証実験を開始した。実験は1月13日まで。外国人のほか、聴覚障害者とのコミュニケーションでも有用性が期待されている。
実験は昨年12月16日から開始。機器はつくば駅改札脇の「ごあんないカウンター」に設置した。仕切り板を隔てて乗客と駅係員がマイクでやりとりする。つくば駅は筑波大や市内の研究所を訪れる外国人が利用し、聴覚障害者が学ぶ筑波技術大の最寄り駅でもあることから設置場所に選ばれた。
機器は自動車部品大手、アイシン(愛知県)が開発したリアルタイム音声認識システム「YYSystem(ワイワイシステム)」を搭載。人工知能(AI)を使ったアプリが人の声をリアルタイムで認識して文字に変換し、透明ディスプレーに元の言語と翻訳された文章を映し出す。
当初は聴覚障害者向けに開発され、その後多言語対応できるように機能を拡大。現在は英語、中国語、ベトナム語、ポルトガル語、韓国語など29の言語に対応している。大きさは高さ20センチ、幅35センチ。既に国内のホテルや阪急電鉄などで導入が進んでいる。
首都圏新都市鉄道によると、駅係員が外国人に対応する時は、タブレット端末の翻訳ツールや通訳機などを使っている。同社の担当者は「物に話しかけて物を相手に見せるやり方なので、物とコミュニケーションを取る感じになっていた。今回のシステムなら対応がスムーズになるのでは」と長所を説明した。
同社は実験終了後、駅係員に機器の使用感などをアンケート調査し、導入の可否を判断するという。