マンホールカード 観光振興に追い風 26市町35種発行 個性的デザイン増 愛好家ら来訪 茨城
ご当地マンホールふたを紹介する「マンホールカード」が茨城県内26市町で配布されている。下水道の広報活動の一環として2016年から無料配布がスタート。全国の観光案内所などで無料でゲットできる。地域ならでは個性的なデザインマンホールふたが増え、24年12月現在、同県内で35種のカードが発行されている。「マンホーラー」と呼ばれる愛好家たちが、配布日に各地を巡り、観光振興の一助となっている。
▽累計1400万枚
マンホールカードは、日本下水道協会を中心とする組織「下水道広報プラットホーム(GKP)」と全国の地方自治体が共同で制作発行している。表面にマンホールふたの写真、裏面にデザインの由来などが記載されたカード型のパンフレットだ。
GKPによると、16年4月に第1弾が配布されて以降、8月、12月と4カ月置きに年3回、新シリーズが発表されている。24年12月に登場した第24弾は、初参画となる10自治体を含む37種のカードが発行された。参加自治体・団体は727に上り、カードの総数は1113種で、累計発行数は1400万枚に達した。
地域が誇る原風景や名産品のほか、市や町のマスコットキャラクター、漫画・アニメキャラなどが描かれたカラフルなふたがカード化され、紹介されている。
▽パトレイバー
配布初日に、コレクターが長蛇の列を作るカードもある。茨城県内最多の6種のカードを配布する土浦市は24年12月20日、同市小岩田西のJA水郷つくばで新デザインのマンホールカードを配った。配布は午前10時からだったが約50人が列を作ったため、開始を15分早めて対応した。
この日配られたのは、同市ゆかりのアニメ「機動警察パトレイバー」のキャラクターがデザインされたカード。1989年から放映されたテレビアニメで、人間型作業機械(レイバー)を巡る犯罪を取り締まる警視庁の主人公側に対し、敵方のレイバー「グリフォン」が市内の研究所で開発されたという物語設定になっている。
初日は700枚弱が配布された。埼玉県から訪れた内田勝夫さん(73)は「関東中心に電車やバスで巡り、200種のカードを持っている。土地の特産品や観光地を楽しめる」と笑顔で話した。
▽アニメファン
市政策企画課によると、23年7月から同アニメ関連のマンホールカードを配布し、これまで4万枚以上配った。マンホールカードのコレクターだけでなく、同アニメファンが全国から押しかけ、配布前には問い合わせもあるという。
市は同年、同アニメのオリジナルマンホールふたを15種類作成し、JR土浦駅西口から亀城公園にかけて設置。以降順次マンホールカードを作成してきた。カードの配布を通し、市内への来訪者の回遊と消費を促して、観光需要の向上を狙う。
同課の担当者は「県内外からマンホールカードを求めてくる方が多いため、カードは観光の一助になっている」とし、「『自転車のまち』のPRに向けて市内のマンホールを巡るスタンプラリーなど、カードとひも付けた計画を考えている」と展望を話した。