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残業規制 課題対応続く 24年問題 運送や建設 「業界の協力不可欠」 茨城

配送センター内には、さまざまな会社名が書かれた籠台車が並ぶ=桜川市御領
配送センター内には、さまざまな会社名が書かれた籠台車が並ぶ=桜川市御領


自動車運転業や建設業など4業種で、4月に時間外労働(残業)の規制が始まり、茨城県内でも関係業界は物流の停滞や工期の遅れなどへの懸念を巡る「2024年問題」の対応に追われた。ドライバーなど労働者の処遇改善が進んだ一方、物価高や人手不足で、十分に対応しきれていない事業者もまだ多い。対応について「関係業界の協力が不可欠」との声もあり、職場や流通環境などの改善に向けた取り組みが続く。

■「共同配送」導入

トラックやタクシー、バスのドライバーは、1人当たりの残業時間を年間960時間以下にする必要がある。

同県桜川市御領にある食品スーパー「カスミ」の配送センターの一角に、競合他社名が書かれた籠台車が並ぶ。遠方から来た荷物が同センターに一度集約され、地元の運送業者らによって各スーパーへ運ばれていく。

集配送を管理するのは、トラック運送業の三共貨物自動車(同県筑西市)。センターの一部を借りて配送の中継拠点を設け、荷物を他社の別車両に載せ替えることで、個別のドライバーの拘束時間を短縮していく。この仕組みは「共同配送」と呼ばれ、仕掛け人で同社事業部の青木英樹さん(60)は「対策しないと、どんどん厳しくなる。荷主業者の協力が不可欠」と強調する。

■長い拘束時間

ただ、業界全体としてまだ十分に対応しきれていない現状もある。県トラック協会(小倉邦義会長)が会員(1620社)を対象に行った調査(157社が回答)によると、各社の最も拘束時間が長いドライバーの1日の平均拘束時間を「13時間以上」と回答したのは31.1%に上った。1人当たりの年間の残業時間を960時間以内に収めるには、拘束時間を1日当たり13時間以内とするのが原則(協会担当者)という。

各社の最も拘束時間が長いドライバーの年間の残業時間が「960時間以上」と回答した社は20.2%を占めた。協会の担当者は「ドライバーの労働時間削減に対し、理解は進んでいるものの、実態は追い付いていない」と話した。

■書類作成の負担

建設業界でも新たな取り組みが進められた。建設業の1人当たりの残業時間は原則年360時間以下に規制。長時間労働の要因の一つに、現場作業後の書類作成の負担などがあるとみられている。

総合建設業の大貫工務店(同県水戸市)では、4月から社内で「建設ディレクター」の育成を始めた。施工計画書などの書類作成業務を担う。将来的にはドローン測量など情報通信技術(ICT)業務も担当する計画という。同社の池沢秀之専務(72)は「時短に取り組み、魅力ある業界をアピールしていく必要がある」と強調した。



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