《広角レンズ》TX東京駅延伸へ熱意 沿線自治体3月総決起集会 茨城
つくばエクスプレス(TX)の東京駅延伸への動きが本格化している。東京駅と有明地区を結ぶ新地下鉄との接続を早期に実現させようと、茨城県内を含む沿線自治体の同盟会が2024年12月に発足。関係者は「まずは地元での機運向上を」と沿線の盛り上がりに期待する。今後、巨額の事業費負担などが議論の中心となりそうだ。
■審議会答申
茨城県守谷市役所の1階大会議室に24年12月23日夜、沿線の7市長ら11自治体の関係者約40人が集まった。「つくばエクスプレスと都心部・臨海地域地下鉄の接続事業化促進期成同盟会」の発足会だ。
会合の冒頭、会長に就いた松丸修久守谷市長は「(東京駅接続には)県や国、TXの理解が必要であり、みんなで働きかけないと事は成せない」と強調した。
1985年の国の運輸政策審議会答申にTX構想は盛り込まれ、東京駅が起点とされたが最終的に秋葉原駅始発に変わった。「秋葉原駅とつくば駅を最速45分」を看板に2005年に開業した。
宙に浮く「東京発」に再びスポットが当たったのは16年の審議会答申だった。TX東京駅延伸と臨海地下鉄の一体整備が位置付けられ、「結婚相手が見つかった」と葉梨康弘氏(衆院茨城3区)は臨海地下鉄を例える。同氏はTX関連の議員連盟会長を務める。
■数年が勝負
同盟会結成のきっかけは24年8月の沿線7市長懇談会の場だった。中央区幹部が臨海地下鉄の現況を説明し、40年までの開業を目指すという都の計画にも触れた。
関係者によると、28年にも臨海地下鉄の工事開始が見込まれる。TX東京駅延伸を臨海地下鉄開通に間に合わせるためには時間的余裕がないことも分かり、その場で同盟会結成が決まった。
葉梨氏は「工期を逆算すると(東京駅延伸の事業化には)今から数年が勝負だ」と分析する。自治体幹部も「この機を逃したら東京駅延伸は実現できないかもしれない」との覚悟だ。
■羽田見据え
東京駅接続の事業費は定かでない。東京駅へ延ばすTX秋葉原駅は地下40メートルより深い「大深度地下」の工事となる。関係者間で2000億円規模ともいわれるが、物価高で不透明な状況。国やTX、自治体の負担割合などの議論はまだこれからだ。
こうした中、秋葉原駅の立地する千代田区はTX沿線自治体でただ一つ、同盟会の参加を保留とした。区担当者は「公共のメリットは理解しているが、工事費の負担など千代田区民にとってのメリットが現時点ではまだ分からない」と話す。
同盟会が見据えるのは有明地区よりも先の羽田空港だ。臨海地下鉄には同空港までの新路線をつなぐ構想もあり、同盟会は「つくば発羽田空港行」を描く。
TX議連会合で国交省幹部は東京駅接続に理解を示し、「まずは地元で熱量と機運を高めてほしい」と沿線の盛り上がりに期待を込める。
同盟会の会合後、松丸市長は延伸実現の鍵となるのは「熱意だ」と語った。3月に総決起集会を開く方針を明かし、市民を巻き込んだ運動に発展させたい考えだ。