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災害時に医薬品手配 茨城県「司令塔」導入へ養成

県薬剤師会館で開かれた災害支援薬剤師を養成する実地講習=昨年12月8日、水戸市笠原町
県薬剤師会館で開かれた災害支援薬剤師を養成する実地講習=昨年12月8日、水戸市笠原町


大規模災害に備え、茨城県が被災現場の需要に沿った医薬品の供給や調整、情報収集を行う「災害薬事コーディネーター」と「災害支援薬剤師」の導入準備を進めている。当面の目標として最大約150人を養成する。深刻な医薬品不足の可能性がある被災地で、的確に薬を届ける司令塔としての役割が期待され、県は制度設計を急ぐ。

災害薬事コーディネーターは災害医療に精通した薬剤師。都道府県の災害対策本部に派遣され、被災地からの避難所や病院、薬局のニーズを把握、集約して、医薬品の供給先の優先順位付けや代替薬の提案、医療品の卸業へ提供要請などを行う。

一方、災害支援薬剤師は各市町村の薬剤師が認定される。地域で災害が発生した場合、現場に入って持病のある被災者やかかりつけ医などから不足する医薬品を聞き取り、災害薬事コーディネーターに情報を提供する。

県は2023年度から県薬剤師会に委託して養成を始め、コーディネーター5人、災害支援薬剤師43人を認定した。本年度も約40人がインターネットと実地の2回、役割や活動内容を学ぶ講習を受講。合格者は今月にも災害支援薬剤師の認定を受ける。

コーディネーター制度は東日本大震災を契機に進んだ。県薬務課によると、2024年の元日に発生した石川県の能登半島地震では、福岡県の災害医療派遣チーム「DMAT」の業務調整員(薬剤師)がコーディネーターの役割を担った。

過去に茨城県で発生した災害では、県薬剤師会が同様の活動を実施してきた。19年の東日本台風(台風19号)では、被災した同県大子町の一部の薬局に代わり医薬品の在庫確認や町内への流通を行った。

同課は制度化により「より速やかに被災者の要望に応え、快適な避難所生活につながる。災害対策本部に直接情報が入ることで他の復旧対応も図れる可能性がある」と指摘する。

県はコーディネーター制度の活動内容を盛り込んだ県地域防災計画を、今月10日まで意見募集(パブリックコメント)を行った上で本年度内に改定する方針。

一方で被災地での情報をどのように得るか、コーディネーターと災害支援薬剤師がどう情報を共有するか、配置人数といった細かな体制が明確化されていないため、同課は運用開始に向けた調整を進めている。

同課の担当者は「避難所の衛生環境に関する助言なども含めた活動で、被災者の健康維持に貢献できるようにしたい」としている。



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