佐竹氏800年の歴史、本に 茨城県立歴史館編集 秋田転封後も記述
常陸を代表する戦国大名、佐竹氏の歴史をまとめた「図説 佐竹一族-関東にその名を轟(とどろ)かせた名族の戦い-」が出版された。茨城県立歴史館が編集を担当し、平安から幕末までの歩みを入門書としてまとめた。同館資料調査専門員の飛田英世さん(65)は「茨城県出身の武将で800年もの長い歴史を持つ一族が、かつて茨城の地にいたことを知ってほしい」と話す。
2019年度に歴史館で開催した特別展「佐竹氏-800年の歴史と文化-」の際に作られた展示図録を下敷きに出版した。今回一部を加筆し、図と表の追加などを行っている。
本書の特徴は、佐竹氏の800年にも及ぶ歴史をまとめたことだ。源頼朝に反抗した金砂合戦、足利尊氏と密接な関係により力を伸ばした南北朝時代、戦国時代の活躍、関ケ原合戦でどちらにつくかという苦渋の選択などが描かれている。
これまで茨城県で出版された佐竹氏の本は、関ケ原合戦後に秋田に転封されて記述が終わってしまっていた。しかし、本書では佐竹氏が秋田で藩主としてどんな生活を送っていたか、また全国に散った佐竹氏の活躍についても紹介している。
飛田さんは佐竹氏を「平安の昔から幕末に至るまで、一貫して歴史の表舞台に出ている全国でも珍しい一族」と評し、「佐竹氏の800年の歴史と文化を感じてほしい」と語った。
茨城水戸市笠原町の川又書店県庁店では、同書が地元本の新刊コーナーに並んでいる。店長の佐々木哲也さん(55)は、「佐竹氏の本は数多く出版されているが、図説や写真を盛り込む本は少ない。図や写真を多く使っており、手に取りやすいのでは」と話した。
同書は戎光祥出版刊、A5判・並製160ページ、定価1980円。