中村彝像の移設完了 CF活用、アトリエ近く 茨城・水戸
茨城県水戸市出身の洋画家・中村彝(つね)(1887~1924年)の没後100年を記念し、ザ・ヒロサワ・シティ会館(同市千波町)の入り口に設置されていた彝の銅像が6日、隣接する県近代美術館敷地内の「中村彝アトリエ」近くに移設された。
クラウドファンディング(CF)を活用した同館運営支援協議会による環境整備事業の一環。移設によって彝像とアトリエが一体化し、画業や生涯をよりリアルに追体験できるスポットとして期待される。
移設作業は同日午前8時過ぎに着手。作業員が同会館入り口にあった像と台座をクレーンでつり上げ、トラックに載せて約150メートル離れた「中村彝アトリエ」近くまで運搬した。さらに再び像をつり上げ、予定された場所へ台座と共に据え置いた。像建立の由来を記した石碑も移され、作業は午後3時過ぎに終了した。
彝像は、彝の芸術を顕彰するため、没後に有志らで組織された「中村彝会」が資金を募り、それを県に寄託して1968年に建立。像の制作は明治末に彝と同じ画塾で学んだ彫刻家の堀進二(1890~1978年)が手がけた。像本体の高さは約1.3メートル。移設を行った業者によると、重さは像本体が約300キロ、台座は約1.6トンだった。
同協議会事務局長の金沢宏同館副館長は「彝像をアトリエ近くに移設する念願がかなった。ぜひ足を運んでいただき、画業や生涯を追体験してもらえればありがたい」と話した。