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新年初の漁 暗転 鹿島沖2人死亡3人不明 仲間の船、懸命救助 茨城

記者会見する大津漁協の鈴木徳穂組合長(右)と坂本善則専務理事=千葉県銚子市
記者会見する大津漁協の鈴木徳穂組合長(右)と坂本善則専務理事=千葉県銚子市


新年初めての出漁が暗転した。茨城県北茨城市の大津漁協に所属する第八大浜丸が同県の鹿島港沖で転覆し2人が死亡、3人が行方不明となった6日、漁業関係者は冷たい海での懸命の救助活動の様子を語り、「早く見つかってほしい」と思いを込めた。

関係者によると、漁船は5日昼にイワシ漁のため大津港を出発。他の漁船と共に新年の安全祈願の後、鹿島港沖の漁場へ向かったという。

転覆事故現場では近くにいた仲間の漁船が救助活動に当たった。

「船が沈みかけている。助けてください」。周辺でイワシ漁をしていた漁船の漁労長、大熊和也さん(54)=北茨城市=は6日午前2時ごろ、無線で緊急連絡を聞き、助けに向かった。

他の漁船と共に暗闇の海の上をサーチライトで照らしながら、乗組員を探した。大熊さんの船は、海中から上がりボートに乗っていた3人を船上に引き上げた。全速力で救急隊がいる千葉県の銚子港まで運んだという。2人は意識がなく口から泡を吹いていたため、心臓マッサージを続けた。もう1人は震えており、船内で温かいシャワーを浴びさせて服を着替えさせた。「自分の名前は言えたが、意識がもうろうとした状態。『寒い』と言っていた」と緊迫した様子を説明した。

大熊さんは「(漁師としての)36年間でこんな事故は初めて」と驚く。

行方不明の1人の40代男性と、大熊さんは親交があった。「『これからまた一緒に頑張っていこう』と話しながら別れて船を出した。家族のためにも早く見つかってほしい」と、つらい表情を見せた。

大津漁協の鈴木徳穂組合長は6日午後、千葉県銚子市内で記者会見を開き、「(行方不明者について)生存は難しいかもしれないが、発見に努めたい。それが最大の仕事だと思っている」と沈痛な表情で語った。今年最初の漁で起きた事故だったという。

坂本善則専務理事は乗組員はベテランが多かったとし、「操船のミスは考えづらい」と説明。「事故原因についてはっきりしたことは分からない。乗組員とも詳細は話せていない。海上保安庁の検証結果を待ちたい」と繰り返した。同じような事故が過去に同漁協で発生したことがあるかについては「私たちの代では記憶にない」と答えた。

■網揚げる役割 第八大浜丸

茨城県旋網漁協などによると、第八大浜丸は3隻で船団を組んでイワシの巻き網漁を行い、操業の主体を担う「網船」だった。魚群を取り囲むように網を出したり、網を揚げたりする役割を担っていた。

県内の巻き網漁の船団は大津漁協と、同県神栖市のはさき漁協にそれぞれ七つあり、第八大浜丸は最も小さい網船。イワシ漁は通年で北海道沖から銚子沖までの海域で行われている。

この時期は鹿島港沖が主漁場で、事故当時は多くの船が同じ漁場に集まって操業していた。茨城県はイワシ類の漁獲量が全国トップを誇る。



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