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鹿島沖漁船転覆1週間 不明者捜索も難航 茨城

大津漁港に帰港した大浜丸船団の運搬船=12日午後4時20分ごろ、北茨城市
大津漁港に帰港した大浜丸船団の運搬船=12日午後4時20分ごろ、北茨城市


鹿島港の沖合でイワシ漁をしていた大津漁協(茨城県北茨城市)の漁船「第八大浜丸」が転覆した事故から、13日で1週間。茨城海保の巡視船などが懸命な捜索を続けたが、行方不明者はまだ見つかっていない。長年漁業を続ける関係者らが「こんな事故は初めて」と口をそろえる惨事で、海保は容疑者不詳のまま業務上過失致死と同往来危険の容疑で捜査を進め、事故原因を調べている。

事故は6日午前2時5分ごろ、鹿島港から東約31キロの沖合で、イワシ漁をしていた第八大浜丸が転覆した。乗っていた20人のうち17人が救助されたが、50代と60代の日本人男性2人が死亡。40~70代の男性3人が行方不明となっている。海保は死者と行方不明者の家族らによる意向で、氏名などを公表していない。

鹿島海上保安署によると、救助された乗組員は「網を引き上げる際、魚が多く入ったことで徐々に船体が傾いた」と説明。魚の重みでバランスを崩し、船体が傾いた可能性がある。

網船の大浜丸は、網とは反対側の船体を探索船がロープで引っ張ることによって支えられる仕組みだが、転覆した。県旋網漁協への関係者からの報告によると、大浜丸が傾いて沈没しそうになった際、共倒れを防ぐために乗組員が互いの船をつなぐロープを切断したという。

また同署によると、乗組員は「事故当時、全員ライフジャケットを着用していなかった」と話している。同漁協の幹部は「漁協で安全・啓発をしているが、誰もこんなことがあるとは思っていなかった」と説明している。

6日には民間船がソナーにより現場付近の海域で沈没船の影を発見。海保は第八大浜丸の可能性があるとして、7日に巡視船いずの遠隔操作型無人潜水機(ROV)で調査を実施した。だが、水深が深くて漁網も多いために難航し、特定できなかった。その上、作業中にROVに修理が必要な不具合が生じ、海保は他の調査方法を含め検討している。

海保が巡視船などを出動させた集中的な捜索は10日の日没までで終了。現在は通常体制のパトロール活動で捜索を続けている。国の運輸安全委員会は今週にも、第八大浜丸の乗員への聞き取りを始める。その後、船を所有する水産業者からも聞き取りをする。

同漁協の漁船は操業後に捜索を続ける。坂本善則専務理事は「行方不明者が見つかってくれるのが一番。今後の動きは会社の意向を確認して、漁協としてできることがあれば協力する」としている。

12日は、千葉県の銚子漁港に停泊していた探索船と運搬船が出港し、捜索活動後、それぞれ午後4時ごろと同4時半ごろに、1週間ぶりに北茨城市の大津港に帰港した。



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