睡眠、自覚とデータに差 「不眠」の66%問題なし 筑波大研究 茨城
「十分に眠れている」と感じる人の半数近くに睡眠不足が疑われ、逆に「眠れない」と不眠を訴える人の3人に2人は問題がない-。筑波大国際統合睡眠医科学研究機構(茨城県つくば市)の柳沢正史機構長らが14日、睡眠の時間や質に関する自己評価は脳波の測定に基づく客観的なデータとは異なる場合が多い、と発表した。自宅での睡眠脳波の測定に基づく客観的なデータ収集が睡眠障害の早期発見や治療に役立つ可能性を強調している。
研究は、柳沢機構長らが2022年3月から1年間、筑波大発ベンチャー企業「,SUIMIN(スイミン)」と共同で実施。同社は睡眠脳波を自宅で計測できる機器開発事業を手がける。被験者は同社のサービス利用者で、睡眠障害の治療を受けていない421人からデータを集めた。睡眠脳波などの測定データと、睡眠時間などを尋ねる質問票の回答を分析。医師が客観的に評価した睡眠状態と、被験者の自覚的な睡眠評価をそれぞれ比較した。
この結果、「十分な睡眠を取った」と回答した人の45%に睡眠不足が疑われる一方、「寝付けない」「目が覚めてしまう」と不調を訴える人の66%に問題がないことが確認された。「睡眠の質に満足」と答えた人の40%にも睡眠時無呼吸が疑われる人がいたという。
柳沢機構長は「今回の研究で自分で思っている睡眠は『当てにならない』ということが示された。この結果を世間に知ってもらい、睡眠計測の普及に弾みをつけたい」と話した。