原発避難アプリ 登録低調 茨城県配信 東海第2半径30キロ圏
日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村白方)の重大事故に備え、原発から半径30キロ圏の住民に避難情報を届ける県独自のスマートフォン用アプリのダウンロードが、約5400人にとどまっていることが分かった。県は日常使いのアプリではないことなどを伸び悩みの理由に挙げる。
「いばらき原子力防災アプリ」は2024年3月にiPhone(アイフォーン)向け、同4月にAndroid(アンドロイド)向けの配信を始めた。無料でダウンロードできる。開発費約2600万円は全額、国の原子力発電施設等緊急時安全対策交付金を活用した。
アプリは名前、事前に居住する市町村や大字、自家用車やバスなどの避難方法を入力して登録する。原子力災害が発生すると、避難先や避難ルート、あるいは屋内退避を促す案内など、自分に合った個別の避難情報がリアルタイムで表示される。
東海第2原発から半径30キロ圏内には、子どもを含め約91万6000人が住む。県は配信開始以降、県の広報紙「原子力広報いばらき」やメディアを通じて普及に取り組んできた。だが昨年10月下旬の時点で、ダウンロード数はiOS版が約3800人、Android版が約1600人にとどまった。
県原子力安全対策課は「原子力は難しいイメージが先行し、住民の興味を引き出しづらい」と指摘。その上で「特に配信開始が遅れたAndroid版の認知度が低い」と分析する。
県は今後、市町村の防災訓練の参加者に利用を呼びかけるほか、防災月間の9月に集中的なPRを展開する方針。
同課は「停電でテレビ、ラジオが使えない場合や外出先でも、市町村からの情報がプッシュ式で届く。事故が発生してからダウンロードしても、すぐに使える仕様にしてある」として、アプリの有用性を強調。認知度を向上させ、利用拡大につなげたい考えだ。