ガソリン上昇 茨城県内悲鳴 政府補助金、再び縮小
ガソリン代がまた上がる。ガソリンなどの価格を抑える政府の補助金が再度縮小され、16日以降、レギュラー1リットル当たりの平均小売価格は約5円上昇し、茨城県内も180円を越える見通しだ。ガソリンスタンドでは給油客から不満の声が上がり、軽油や重油を使うバス事業者や農家は負担増に頭を悩ませる。
「180円越えは高すぎる」。15日夕、車の給油のため同県水戸市河和田のガソリンスタンド「茨城ゼネラル石油 赤塚駅南SS」を訪れた同市、パート従業員、石井久満さん(59)は価格上昇に憤った。同市、40代の教員、女性も「怒りを感じる。茨城での生活に自動車は必要。それに関わる負担が増えるのは痛い」と嘆いた。
同日発表の茨城県レギュラーガソリン価格(14日時点)は176円60銭。同スタンドには価格が安いうちに給油する「駆け込み給油」の車が多数訪れ、車の長い列ができた。
■業者への影響
補助縮小は軽油、灯油、重油などにも及ぶ。燃料費高騰が死活問題につながりかねない事業者もいる。
高速バスや貸し切りバスを運行する同県つくば市の常南交通は、所有する56台のバス全車両で軽油を使う。運行管理担当の男性(61)は「1カ月の燃料支払い額は15万~20万円ほど上がるだろう」と見積もる。「価格転嫁は難しい。会社が負担増をかぶる形になる」と話した。
同県茨城町でトマトを栽培する柳農園の柳洸太さん(36)は、ビニールハウスの温度をトマトの栽培に最適な12~13度に保つため、冬場は暖房に多くの重油を使う。「多い時で1カ月10万円ほど燃料費が上がるはず。トマトの売り上げが同じでも、利幅が減ってしまう」と苦い表情を見せた。
■暫定税率廃止
ガソリン1リットル当たりの小売り価格には、消費税10%、ガソリン税28円70銭、暫定税率の上乗せ分25円10銭、石油石炭税2円80銭などが含まれる。昨年12月11日には自民、公明、国民民主の3党が暫定税率の廃止で合意。暫定税率が廃止されれば約25円分のガソリン価格が下がるが、廃止時期については未定とされる。
石油の流通などに詳しい茨城大カーボンリサイクルエネルギー研究センターの古関恵一教授(66)は「消費者の負担軽減には暫定税率を外すのが適している」と分析。「再生可能エネルギーの拡大を進めるのも大事だが、生活苦にならないようバランスを考え、ガソリン価格を下げて使いやすくすることも必要」と提言した。