《茨城・ろっこう体験》東国三社参り 自転車旅50キロ、6時間 関東最強パワースポット
鹿島神宮(茨城県鹿嶋市宮中)、息栖神社(同県神栖市息栖)、香取神宮(千葉県香取市)を参拝する「東国三社参り」。江戸時代に人気を博し、最近では「関東最強のパワースポット巡り」として人気を集めている。ただ、公共交通機関だけで巡ろうとしても、どうしても多くの時間を要する。それならば健康増進も兼ね、自転車旅と考え挑戦した。
■息栖神社
昨年末の日曜日。アートホテル鹿島セントラル(旧鹿島セントラルホテル)で予約していた電動アシスト付き自転車を借り、気温4度の中、午前9時10分に出発した。
10分ほどで第1目標の息栖神社に到着した。早速参拝し、旅の無事を願った。建て替えられたばかりの社務所に寄ると、「東国三社守」を見つけた。一辺が1.5センチ、高さ3センチの三角柱の木製のお守り。既に息栖神社の御神紋シールが貼られており、残りの両神宮でそれぞれの御神紋シールを貼ると完成するお守りだ。自転車旅の思い出にもなると思い、授与を受け、香取神宮に向かった。
■香取神宮
常陸利根川沿いのサイクリングロードを南東へと進み、「ようこそ かみすへ」の看板を背に、息栖大橋を渡ると千葉県だ。今度は対岸のサイクリングロードを北西へ。真っ正面には筑波山が見えた。鹿行地域でもランドマークになっていることを実感した。
東関東自動車道(東関道)まで来ると、サイクリングロードを離れ、JR香取駅近くで成田線を横切り、しばらく走ると香取神宮だ。最後は急な坂。それでも電動アシストの力を借り、立ちこぎもせずに上り切り、同10時50分に到着した。境内が参拝客でにぎわう中、黒漆の権現造りの社殿に圧倒されながら、再び旅の無事を祈願し、御神紋シールを受け取った。
ここまで来たなら、江戸時代、日本国中を測量してまわり、初めて実測による日本地図を完成させた伊能忠敬の記念館に立ち寄りたいと考えた。偉業を感じ取り、佐原の歴史的な街並みも堪能した。その後「道の駅水の郷さわら」でエネルギーを補給し、最後の鹿島神宮を目指した。
■鹿島神宮
疲れが出始め、最短ルートを調べてみると、東関道の利根川橋(630メートル)と常陸利根川橋(300メートル)には自転車歩行者道が併設されているのを見つけた。ルートが短縮でき、重い足の大きな助けとなった。
茨城県潮来市内の田園地帯を抜け、鹿島神宮西の一之鳥居を右に神宮橋を渡り、県立鹿島高下からの坂を上り切り、鹿島神宮には午後1時50分に着いた。何度も参拝しているが、拝殿前に立つと自然と背筋が伸びていることを感じる。これで「東国三社守」が完成し、「幸運が授かるかも」と欲が出た。
これで終わりではない。自転車を返却しないといけない。ホテルの建物の姿ははっきり見え、平たんな道が続くが、向かい風もあり、時間を要した。同3時15分、無事にゴールし、達成感よりも正直ほっとした。
道程を調べると、所用時間は約6時間、距離は約50キロだった。体力のない自分にとっては「よく頑張れた」と自己評価。再び「幸運を授かりたい」と思った。
★東国三社参り
江戸時代、利根川の河川改修で水運が発達し、盛んとなった。関東以北の人は伊勢神宮参拝後に、江戸から舟で戻る際に「下参宮」と称して三社を参拝。「お伊勢参りのみそぎの三社参り」とも呼ばれていた。近年は「パワースポット」を巡る旅としてバスツアーが組まれるなど、人気を集めている。
鹿嶋支社管内の記者が、魅力いっぱいの鹿行地域ならではの体験記を伝えていきます。