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《リポート2025》「新公会堂」建設どこに 茨城・古河市 候補地絞り込みへ 規模や開業時期、検討材料

新公会堂(仮称)建設候補地の旧古河体育館跡地=古河市旭町
新公会堂(仮称)建設候補地の旧古河体育館跡地=古河市旭町
新公会堂(仮称)候補地の開発事業地=古河市大堤
新公会堂(仮称)候補地の開発事業地=古河市大堤


茨城県古河市で新しい文化施設「新公会堂」(仮称)を造る話し合いがヤマ場を迎えた。施設の基本構想や基本計画を話し合う市民委員会は21日に開く会合で建設候補地を絞り込む考えだ。少子高齢化で人口減が見込まれ、大型イベントの誘致や利用者数の維持は決して容易ではない。「市民に応援してもらえる施設」(市プロジェクト推進課)の実現に向け、議論の行方が注目される。

▽民間活用

「旧古河体育館」跡地=同市旭町=の場合は約175億円、「未来産業用地開発事業」の対象エリア内(大堤地区)だと約167億円-。委員会が昨年12月に開いた直近の会合では、今ある二つの候補地について、施設整備に必要な費用の試算が示された。「市が直営で事業を実施した場合」「財源は地方債(充当率75%)の活用を検討」といった条件付きではあるが巨大な金額だ。

委員会は市長の諮問機関で、商工会議所や商工会、福祉、教育関連の団体代表者や学識者、公募した市民らで構成され、2023年7月から9回の会合を重ねてきた。これまでの議論では、施設の規模や機能について、客席数1300席程度の「大ホール」やリハーサル室の機能を備えた「小ホール」を設置し、足腰の不自由な利用者に配慮した駐車場や大型トラックに対応できる搬入動線を確保することなどを挙げている。運営の仕方は「民間活力を導入した事業方式」を念頭に検討する方向でまとまった。

▽一長一短

とはいえ、候補地案は単純に整備費の試算額だけを比較して選べるものではなさそうだ。体育館跡地は敷地面積が大堤地区よりも狭く、主要道路に面した南側入り口両脇の土地を個人が所有する「旗ざお地」。こうした制約から、大ホールの客席数は1300席に届かず、駐車場も狭くなる。一方でJR古河駅からのアクセスが相対的に良いなどの利点もある。

これに対し、大堤地区は大ホール、駐車場とも委員会で集約した方向に沿った形で造れる見込みだ。ただし、想定される施設の供用開始年度は最短で「32年度中」と体育館跡地よりも遅れる見通し。同エリア内の商業施設などと開発を一体的に進める必要があるためだ。

▽長年の争点

市は05年の合併以来「拠点となる総合的な文化施設の整備」を重要な政策に位置付けてきた。この間、12年に「文化センター」の建設計画が浮上したものの市民の意見は割れ、市長の解職請求(リコール)運動に発展した経緯もある。24年11月の市長選でも候補者の間で施設の在り方を巡って賛否の声が上がった。

委員会は1月の会合で候補地案を選んだ後、3月末までに中間報告をまとめる。その後、パネル展示や説明会などを通じて議論の内容を紹介し、夏ごろに市長へ答申する予定だ。



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