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湿度電池の出力向上 小型センサー駆動 産総研 茨城・つくば

研究内容を説明する産総研の駒崎友亮主任研究員=つくば市梅園
研究内容を説明する産総研の駒崎友亮主任研究員=つくば市梅園
湿度変動電池を使用したワイヤレスセンサー(左)と受信機=つくば市梅園
湿度変動電池を使用したワイヤレスセンサー(左)と受信機=つくば市梅園


産業技術総合研究所(産総研、茨城県つくば市)の研究チームは22日、電子回路を駆動できるまでに出力を向上させた湿度変動電池を開発し、4カ月以上にわたって気温などを測定するワイヤレスセンサーを駆動させることに成功したと発表した。従来品と比べ、最大出力が約68倍に向上した。電源確保の難しい屋外の暗所でも発電でき、交通量測定や農業分野で使うワイヤレスセンサーなどへの活用が期待される。

湿度変動電池は昼夜の湿度差を利用し、場所や時間を問わず発電できる。産総研が2021年に開発した。研究チームによると、湿度は昼夜間で30~40%ほど差がある。従来の電池は発電出力が弱く、電子回路は動かせなかった。

電池内部は大気に面した槽と密閉された槽の二つに仕切られている。周囲の湿度が変化すると、内部の塩化リチウム水溶液が水分を吸収・蒸発し、2槽間で水溶液の濃度の差が生じることにで発電する仕組み。研究チームは2槽を仕切る部材を変更し、電圧の低下を防ぐよう工夫した。

さらに、研究チームは今回開発した電池を使って気温や湿度、気圧を測定する小型ワイヤレスセンサーも併せて開発した。屋外で4カ月以上安定して稼働させることに成功した。

ワイヤレスセンサーは交通量の測定や農作物の生育状況把握など、さまざまな分野で利用が見込まれる一方、電源の確保が課題だった。湿度変動電池は太陽発電ができない暗所でも発電でき、電池交換も不要のため、各分野での省力化にも貢献すると期待される。5年以上使えるようになれば、従来のボタン型電池に対する優位性がより高まるとみられている。

研究チームは今後、同電池の電極の劣化克服などに向け、研究を進める。研究をリードした産総研人間拡張研究センターの駒崎友亮主任研究員は「実用化に向け、さらなる高出力化や耐久性向上を目指したい」と話した。



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