斉昭のレシピ 現代風に 茨城県、観光誘客へ活用
江戸時代後期の水戸藩主・徳川斉昭(1800~60年)が残したとされる「食菜録」の料理を現代風にアレンジしたメニューが23日、茨城県水戸市内で披露された。茨城県の豊かな食に歴史、文化を加味した名物料理を生み出し、観光誘客に生かすため、県が企画した。メニューは今後、開発した各飲食店で提供される。県はインバウンド(訪日客)や富裕層にPRし、県内観光消費額の増大を目指す。
「食菜録」は海産物や肉、大豆、餅などを使った300種の料理書。斉昭がジョン万次郎から聞き取ったパンの製法、他県では見られない菓子「時雨餅」などが記されている。
今回披露されたのは、茨城県ブランドのマガモやマサバをはじめ、タイやコイ、リンゴなど県産食材を使った8品。いずれも食菜録のレシピを基に、県内の飲食店8店のシェフらが茨城県の歴史や風景を感じられる奥深い味わいに仕上げた。
県の2023年観光客動態調査によると、同年に県内20地点を訪れた4628人のうち、食や買い物を狙いに挙げた観光客は12.1%。県内への観光誘客の大きな要素となる「食」の強化が課題となっている。
県は貴重な文化遺産となっている斉昭の「食菜録」に着目。県産食材を使った同書に基づく料理の開発を県内11店のシェフに依頼。昨年10月に取り組みをスタートさせた。
この日は「世界一の美食家」として知られる浜田岳文さん(50)、「食菜録」のレシピ再現と発信に取り組む「水戸食菜録研究会」の荒木雅也茨城大教授(51)が出席。在日外国人モニターを含む約40人が試食し、改善点を探った。
中国出身で米国籍のジャン・ジアリーさん(33)は「タイを刺し身やスープ、コロッケに仕上げた料理が気に入った。見た目も味も良い」と高く評価した。
浜田さんは「食材の良さと『食菜録』という茨城のアドバンテージを生かし、研究家の知見と料理人を結び付けたのは素晴らしい」と講評。荒木教授は「和食を超えて洋食や中華にもなる食菜録の可能性を感じた」と話した。