投資家や著名人をかたって勧誘する投資詐欺や、マッチングアプリを使って恋愛感情を抱かせて投資に誘導するロマンス詐欺を防止しようと、茨城県水戸市と県警水戸署、水戸地区防犯協会が啓発動画を制作し、市のユーチューブチャンネルで公開している。県バス協会も協力し、市内の防犯ボランティアらが出演、日常に潜む詐欺の危険を描く。今後、中高年層の利用が多いとされる観光バス内などでも放映し、効果的な啓発を図る。

動画は「ロマンス詐欺編」「投資詐欺編」に分かれ、いずれも友達同士の女性2人が路線バスで買い物に出かける際、車内で近況を語り合う。

「ロマンス詐欺編」では、女性が年下の男性との交流サイト(SNS)でのやりとりを女友達に見せ、男性から「2人で旅行するお金をためるため、不動産に投資したいからお金を送ってほしい」と求められていることを明かす。車内に居合わせた別の乗客が詐欺に気付き、被害を防ぐ結末となっている。

出演した防犯ボランティアは、水戸地区防犯協会女性支部に所属。ロマンス詐欺は街頭での見守りが難しいことから、動画での啓発に協力したという。このほか、県内初の19歳でバス運転手となった茨城交通(同市)の高阿田諒太さんや、バスケットボールのB1の茨城ロボッツの久岡幸太郎選手、サッカーJ2の水戸ホーリーホックの長井一真選手(今季はJ2秋田に期限付き移籍)も登場する。

市は、被害者が知識として詐欺の手口を知っていても、自分ごとと捉えられずに被害に遭ってしまうケースがあると指摘。自衛を強めてもらうために動画を制作したという。春の観光シーズンのバスの車内などでも放映していくとし、「家族や友人間で詐欺に遭わないよう意識を高めてほしい」と話している。