新春合同政懇 表現者への思い貫く 落語家・蝶花楼さん 「夢 多方面から」 茨城・水戸
茨城新聞社主催の新春合同政経懇話会が29日、茨城県水戸市千波町の水戸プラザホテルで開かれ、落語家の蝶花楼桃花さんが「努力は夢をかなえてくれる」と題し、軽やかな語り口で講演した。「表現者になりたい」との思いを実現させた蝶花楼さんは、「壁にぶつかっている方がいたら、形を変えて表現し、多方面から夢を見ることの大切さをアドバイスしてほしい」と語りかけた。
蝶花楼さんは春風亭小朝さんに入門。2022年3月に落語協会で10人目の女性の真打ちに昇進した。
子どもの頃の夢はミュージカル女優だった。オーディションに合格することはなく、もがき続けた。ただ「表現者になりたい」との意志は変わらず、歌舞伎や落語も見るようになり、伝統芸能の世界に引き込まれた。
小朝さんの落語を見て、弟子入りを決意。熱意が認められ、修業が始まった。今も昔も女性落語家は少ない。ある時、師匠から「全ての落語家が修業をしている。どこで手を抜いているか全部分かる。たくさん荷物があった時、君は重たいものを選びなさい」と言われた。言葉を守り続け、師匠方から落語を教えてもらえるようになった。
蝶花楼さんは、落語家となり「夢の回収」ができたという。入門前、アイドルグループのオーディションに落ちたものの、二つ目時代にアイドルとの共演を実現。元宝塚歌劇団所属の女優が主演の舞台にも出演を果たした。思わぬ形で夢をかなえ「自分の根源となる気持ちがあれば、報われる」と述べた。講演後は古典落語を披露し、大きな拍手を浴びた。
【出席者コメント】
■笹島律夫・常陽銀行会長 若者よ諦めず努力
壁にぶち当たっても諦めずに努力すれば、回り道のようでも(夢に)たどり着くという話は、若い人にこそ伝えたい。努力は必ずしも報われないが、努力しなければスタートにさえ立てないという思いをかみしめた。
■宮嶋謙・かすみがうら市長 視野広く目標追求
「夢を多方面から見る」という言葉に共感した。視野を広く持って、自分の目標を追求することが大切だと思う。答えは一つではなく、方法を変えながらチャレンジすることが重要だと若い人たちに伝えたい。
■額賀優・神栖市議会議長 努力重ね目標達成
落語家になるまでの経緯を聞き、全てのことは努力をもって成し遂げられるしかないと思った。目標を達成するため、個人、組織、自治体それぞれが努力し続ける必要があると再認識した。
■海野良司・ホテルテラスザスクエア常務取締役 人を引き寄せる力
片腕を骨折して痛みがある中、プロ根性で一席こなしている姿を見てすごいと感心した。落語という男社会の中で、これまで相当努力してきたと思う。その努力には何かしら人を引き寄せる力があると感じた。