J1鹿島 デジタル無線通信拡大 災害活用視野 小泉社長「鹿行全域に」 茨城
サッカーJ1の鹿島アントラーズFC(小泉文明社長)は、JVCケンウッド(本社神奈川県横浜市、江口祥一郎最高経営責任者=CEO)と組んで、デジタル無線通信システムの構築拡大を進める。昨年12月に県立カシマサッカースタジアム(茨城県鹿嶋市神向寺)に中継器を設置し、市内全域で活用できるようになった。試合日やイベントでの活用だけでなく、災害時での活用も視野に入れる。31日に記者会見があり、小泉社長は「鹿行全域、県内全域にも広げていきたい」と展望を明かした。
これまで同スタジアムでは中継器がなく、無線機端末同士だけでの通信で、障害物などによる不通エリアがあった。だが、設置後は不通エリアが解消されたほか、音声もクリアになった。中継器1台で通信範囲も半径約10キロ未満まで利用可能となり、潮来市全域、神栖市役所までの通信も確認されている。
こうした通信環境を自治体にも活用してもらおうと、JVCケンウッドはこの日、鹿嶋市に無線機端末を25台寄贈した。田口伸一市長は「迅速かつ確実な通信手段が確保され、市民の安全安心を守るための大きな一歩と感じている」と感謝した。今後、防災訓練などで使用経験を積むという。
江口CEOは、1対大勢で同時に会話ができる無線の特徴を挙げた上で、「デジタル無線のシステム構築によって、地域のつながりが深まる共助コミュニティーを築いていきたい。鹿嶋をモデルケースにして、広げていければ」と語った。