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《広角レンズ》補聴器 購入助成じわり 中軽度の難聴 茨城県内10市町村

耳あな型や耳かけ型、ポケット型と種類がある補聴器(左から)
耳あな型や耳かけ型、ポケット型と種類がある補聴器(左から)
耳かけ型補聴器の装着イメージ
耳かけ型補聴器の装着イメージ


障害者手帳を持たない軽い難聴の高齢者らを対象に、補聴器の購入費を助成する自治体が茨城県内でじわり増えている。これまでに10市町村が導入し、利根町は2025年度に始める。難聴は認知症につながるとの指摘もあることから、各自治体は助成することで補聴器の装着を促し、健康寿命の延伸や医療費の抑制につなげたい考えだ。

難聴は聞こえ方によって重度、高度、中等度、軽度に区分される。聴覚障害で身体障害者手帳が交付されない軽度や中等度の難聴者を対象に、県内で助成しているのは1月現在、土浦、つくば、龍ケ崎、稲敷、筑西、古河、常総の7市と城里、大洗の両町、東海村の計10市町村-。東海村を除き、65歳の高齢者に限定している。

助成額は最大1万~3万円。補聴器の購入前に必要書類の提出を求めたり、住民税非課税者を対象にしたりする自治体もある。

龍ケ崎市は24年4月から最大3万円を助成。市議会で助成を求める請願が採択された。市福祉総務課によると、昨年末時点で想定を上回る100人以上の市民から申請があり、市は補正予算を組んで約180人分の助成額を確保した。

同課担当者は「高齢者のより良い社会生活や健康寿命の延伸につなげたい」と話す。稲敷市や常総市なども昨年、助成を始めた。


日本補聴器販売店協会(東京都)の調査によると、補聴器購入費を助成する県内自治体は23年12月時点で4市町だったが、24年度は10市町村に広がった。利根町は25年4月から実施予定で、こうした動きはさらに広がるとみられる。

補聴器は保険が適用されないため全額自己負担となる。日本補聴器工業会(東京)が22年に行った調査によると、補聴器購入者の1台(片方)当たりの価格は10万~30万円が67%を占めた。稲敷市の担当者は「少しでも負担を減らし、購入しやすくしたい」と話す。


筑波大医学医療系の田渕経司教授(耳鼻咽喉科・頭頸部外科)によると、加齢による聴覚の衰えは50歳ごろに始まり、60歳以上で約3人に1人、70歳以上で約半数が難聴を抱えるという。

認知症患者のうち、発症が予防できたかもしれない人の中には難聴症例も多く含まれるという。補聴器を使って聴力を補うことが認知症予防につながるとの認識を示し、「聞こえにくいと感じたら、診察を受けて自身に合った補聴器を使うことが重要」と話す。



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