《リポート2025》企画充実 高い満足度 茨城県自然博物館30年 資料や催し多彩 入館者、コロナから回復
![植物、動物、地学各分野のえりすぐりの資料が並んだ県自然博物館の30周年記念企画展=坂東市大崎](https://ibarakinews.jp/photo/17386698926021_photo1_001.jpg)
茨城県自然博物館(同県坂東市大崎、横山一己館長)は2024年11月に開館30周年を迎えた。記念企画展は約2カ月で6万人超が訪れるなど好評で、本年度の年間入館者も40万人超を予想する。24年には開館からの累計入館者が1300万人を突破するなど、コロナ禍からの回復が進んでいる。同館は次の10年に向け、企画展の充実を図るなど、来館者の満足度向上に力を注ぐ。
▽歩みを総括
「何度も来館し面白さを体感できるような企画展にした。当館の歴史を感じていただければ」と、30周年記念企画展総合統括の佐藤一康さんは話す。
企画展は「ミュージアムパーク30年のありったけ-いつも茨城県自然博物館はおもしろい!-」と題し、24年11月2日に開幕。これまでの歩みを総括し、同館が研究する植物、動物、地学各分野の貴重な資料を展示している。「ベストセレクション」コーナーでは、通常の企画展ではなかなか見ることができない収蔵資料が並ぶ。巨大な紫水晶のアメシストドーム、ダイオウイカや各種サメの標本など、迫力ある展示が目を引く。2月22日には展示を大幅に入れ替え、6月1日まで開催する。
▽リピーター
入館者は、東日本大震災とコロナ禍の時期に大きく減少した。特にコロナ禍の2020年度は過去最低となる約25万人に落ち込み、翌21年度も約28万人。だが22年度は約44万人、23年度は約43万人となり、24年度は45万人程度が予想されるなど回復が進んでいる。
同館によると、入館者は県内だけでなく千葉、埼玉、都内などからが多く、半数以上が県外など幅広い地域から来館している。また、展示の見学だけでなく、屋内外施設での観察会や講座、実験、工作などの各種イベントが利用され、リピーターが多いのも特徴という。
▽楽しめる環境
開館以来の入館者は24年8月に1300万人を突破するなど、人気の自然史系博物館となっている。展示や教育普及のほか、植物、動物、地学の3分野における資料収集・保管、調査研究などを行っており、収蔵資料の総数は30年で計44万点を超えた。
同館は次の10年を見据え、展示や教育普及を柱に、来館者が楽しめる環境の構築に力を入れていくという。年3回開いている企画展を充実させるほか、子どもたちの自然史に対する興味や関心を高める各種イベントを用意していく。また、ゴールデンウイークやお盆などの混雑時期には事前予約とするなど配慮し、来館者の満足度向上を図る。
横山館長は「来館者が見やすく満足できる環境づくりに努めていく。これまでの30年に感謝するとともに、次の10年に向け、楽しく、学びがある博物館を全職員でつくっていきたい」と話している。